【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(9) 充電事情の現状と将来を考える
公開 : 2022.10.18 16:45 更新 : 2022.10.20 10:28
AUTOCAR JAPANの笹本健次編集長のポルシェ・タイカン購入レポート。今回は、充電事情の現状と将来を考えます。
充電インフラは良くなる?
10月13日にようやく、ポルシェ・ジャパンとアウディ・ジャパンの2社によるプレミアム・チャージング・アライアンスがスタートの運びとなった。
これでアウディのEV各車の充電も、かなり可能性の幅が広がったと思う。
特にeトロンGTの場合は、93kWhのバッテリーに対して、普通充電の8kWh、急速充電の90-150kWhでの対応ができるようになったため、充電環境はかなり良くなる期待が持てそうだ。
しかし、それ以外の、例えば、BMWやメルセデスの場合は、最近発売のiXやEQSで110kWhものサイズのバッテリーを搭載して、600-700kmの航続距離をカタログで謳い上げるが、メーカーが推奨する充電器は自宅でも6kWhに過ぎず、インフラに対しての対応はとても十分とはいえないと思う。
実際、フル充電をすると仮定すれば、ポルシェの場合は、93÷8=11.6時間となり、メルセデスの場合は、110÷6=18.3時間で、その差は大きいと言わざるを得ない。この辺りは、何とかならないものかと思う。
一般的な急速充電でも、現状で最も多く設置されている40-50kWhのチャージャーでは、30分でその半分しか充電できず、100km+αレベルの走行可能距離の増加にとどまるのが不便だ。やはり最低90kWh、できれば150kWhが欲しいところである。
EVはまだ不安? 充電設備普及は急務
さて、このレポートの第6回で旅館・ホテルの充電設備の現状について記してみたが、実は、EVの購入に踏み切れないひと達の1番の問題は、長距離を走る際の充電環境への不安だと思われる。
わたしが偶々、旅館の経営もやっているので良く分かるのだが、今まで、気にも留めなかった燃料の問題を考えなければならない、という時点で多くの人がストレスを感じ、EVを拒否するのは自然だと思う。
しかし、世の中の趨勢としては、EV時代を迎えざるを得ず、その為の対策は講じていかなければければならないのも現実である。
旅行など非日常の長距離移動の際の充電という条件では、高速道路の急速充電は勿論として、実は、宿泊施設での夜間の充電環境の充実がカギになってくる。
EVにおけるインフラ整備はとても重要で、度々わたしも主張しているように、その整備は急務だが、全国に数万件ある宿泊施設の充電設備の充実は、社会インフラの一環といってもよいぐらい大切だと思う。
仮に、遠方から長距離を走って来て観光地(ビジネスでも同様)を巡り、そして旅館に泊まり、翌日も観光をして帰宅する、という旅程を考えると、旅館に泊まった夜の時間帯に充電をするのが1番現実的で、現にまだ少数だが、EVを使用しているお客さまは皆そうしている。