基礎骨格はアリアと同じ ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックへ試乗 航続450km

公開 : 2022.11.03 08:25  更新 : 2023.09.14 11:35

グーグルのシステム搭載 乗り心地は良好

ボルボも同じシステムを採用しているが、メーカー独自のインターフェイスに仕上げることができ、一見すると共通性は感じない。グーグルの音声アシスタントが要望を聞き、グーグル・マップが標準ナビとなるから、知っている人なら気付ける程度だろう。

ルーノは、そのアンドロイドをスマートフォン風にデザインしており、現代っ子なら使いやすく感じるはず。アップル・カープレイにも対応し、アップル・ファンがスマートフォンと同期させ、アプリやサービスを利用することもできる。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(英国仕様)
ルノーメガーヌ Eテック・エレクトリック(英国仕様)

パワートレインやインテリアで差別化を巧みに図ったルノーだが、走りにも違いが出ていて興味深い。乗り心地は比較的硬めながら、適度な落ち着きもある。

20インチ・ホイールを履いていた試乗車は、若干路面の不整に影響を受けがちだった。それでも、大きさを考えれば快適といって構わないだろう。ほかに18インチも選べる。

ステアリングホイールの操舵感は軽く、切り始めからかなりクイック。滑らかなコーナリングや、フロントタイヤのグリップ状況は判断しにくい。攻め込むと一定の手応えは伝わってくるものの、若干の不自然さも伴う。

最高出力218psを一手に引き受けるフロントタイヤだが、トルクステアはほぼ皆無。トラクション・コントロールが余分なパワーを制限しつつ、ドライバーが望んだ加速を巧みに実現させていた。

0-100km/h加速は7.5秒と充分。ファミリーハッチバックとしては俊足といえる。ドライブモードを変更すれば、アクセルペダルの反応も変えられる。

スタイリッシュで実用的なサイズのBEV

ステアリングホイール裏のパドルを弾くと、回生ブレーキの強さを調整できる。アクセルペダルだけで完全に停止までカバーする、ワンペダル・ドライブはできない。

今回の試乗で確認できた航続距離は、フル充電で平均330kmほど。電費は5.4km/kWhとなるが、もう少しカタログ値に近づいて欲しかったというのが正直なところ。キア・ニロ EVは395km前後は実際に走れる。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(英国仕様)
ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(英国仕様)

急速充電能力は最大で130kW。最短30分で残量10%から80%まで蓄えられる。2022年の新型BEVとしては、妥当な速さだ。

Eテック・エレクトリックの英国価格は、3万5995ポンド(約594万円)から。ライバルよりお手頃ながら、そのエントリーグレードにはグーグルのシステムの多くと、アダプティブ・クルーズコントロールなどが実装されない。

堅実なグレードといえるのがテクノで、こちらは3万8495ポンド(約635万円)から。これも、同等装備のライバルより安いといえる。ただし、MGモーターのMG 4は価格破壊的にさらに安価だ。

メガーヌ Eテック・エレクトリックは、好印象な仕上がりのBEVだと思う。恐らく1年前なら、実用的なサイズでスタイリッシュで、優れたインフォテインメント・システムを実装し、際立つ存在といえただろう。乗り心地も褒められる。

しかしその間に、操縦性や航続距離で勝る実力派ライバルが登場している。市場がどう判断するのか興味深い。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(英国仕様)のスペック

英国価格:3万9545ポンド(約652万円/試乗車)
全長:4210mm
全幅:1780mm
全高:1500mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:450km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1636kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:60.0kWh(実容量)
急速充電能力:130kW
最高出力:218ps/5473-1万1688rpm
最大トルク:30.4kg-m/100-4714rpm
ギアボックス:シングルスピード

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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