アルピーヌ 水素で走る軽量スポーツカー・コンセプト 仏で実車公開
公開 : 2022.10.18 06:05 更新 : 2022.11.01 08:41
アルピーヌは、水素エンジンを搭載したコンセプトカー「アルペングロー」をパリ・モーターショー2022で公開しました。エンジン車の楽しさを維持しながらカーボン・ニュートラルを実現する未来のスポーツカーです。
アルピーヌが水素エンジン搭載
アルピーヌは、水素エンジンを搭載するコンセプトモデル「アルペングロー(Alpenglow)」をパリ・モーターショー2022で公開した。今後発売する量産車やレーシングカーのデザインと技術を予告するものとされる。
アルペングローは、F1や世界耐久選手権など、トップクラスのモータースポーツに携わってきたアルピーヌの歴史の延長線上にあるもので、「将来のアルピーヌのデザイン、テクノロジー、ブレークスルーのすべての出発点」だという。
開発においてはアルピーヌの「レースの精神」を体現するために、サーキット走行に焦点が当てられた。「未来のモータースポーツはこうあるべき」として、奇抜なフォルムだけでなく、パワートレイン技術も先進的なものとなっている。
アルペングローは、水素を燃料とする内燃エンジンを搭載する。その技術的な詳細や、量産化につながるものかどうかは明らかにされていないが、アルピーヌによると、「ハイブリッド水素内燃エンジンは環境に優しく、圧倒的なパワーや魅惑的なサウンドなど、他にはない運転の楽しさを備えている」という。
トヨタも、水素燃焼技術を量産化するために、モータースポーツ活動にも力を注いでいる。
アルピーヌは水素エンジンについて、「実質的に蒸気しか排出しない」と述べ、スポーツカーで今後も内燃機関を使い続けながら、カーボン・ニュートラルを実現できるとしている。
水素が未来の動力源に?
AUTOCARは最近、アルピーヌが内燃機関の技術を守るために、水素の利用を「積極的に」検討しているという情報をつかんだ。アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、次のように語っている。
「複数のソリューションを同時に検討するのは当然のことです。アルピーヌは、電動化と両立する別の選択肢を探したい。なぜなら電動化は、好むと好まざるとにかかわらず、将来的には自動車全体の60~70%に普及すると見込まれるからです」
「残りの領域は、用途や特性、求められる機能によって異なります。多くの荷物を積み、日々の走行距離がある程度固定されているLCV(小型商用車)では、異なるソリューションを導入する余地があると思います」
これまでのところ、アルピーヌが正式に発表している次世代ラインナップは、次期ルノー5をベースにしたホットハッチ、「GT-X Over」と呼ばれるコンパクト・クロスオーバー、A110の後継モデルの3車種のみ。いずれもBEVとなる見通しだが、ロッシCEOは水素の利用可能性にも目を向けている。
「当社の場合、水素もソリューションの1つになりうると考えています。なぜなら、燃料としてだけでなく、電気を発生させる燃料電池としても使うことができるからです」
「これは素晴らしいことです。水素のエンド・ツー・エンドの産業化は電動化と互換性があるので、1つの道になると考えています」
そしてロッシCEOは、水素燃焼技術のビジョンを、サーキット走行に特化したプロトタイプで披露すると示唆していた。それがアルペングローだったというわけだ。