ミドシップらしい電動スポーツカー アルピーヌA110 E-ternite 仏でプロトタイプ公開
公開 : 2022.10.18 18:25 更新 : 2022.10.19 02:15
アルピーヌは、A110をベースとした実験的プロトタイプ「A110 E-ternite」をパリ・モーターショー2022に出展しました。車重の軽さとミドシップらしいハンドリングを目指した先進的な設計となっています。
次世代スポーツカーの実験台に
アルピーヌは、スポーツカーのA110をベースとしたプロトタイプEV「A110 E-ternite」をパリ・モーターショー2022で公開した。
初代A110の誕生60周年を記念して発表されたこの車両は、アルピーヌ初の実走行可能なEVであり、初のドロップトップモデルでもある。剛性とデザインへの影響を最小限に抑えた、取り外し可能なルーフが特徴の1つ。
次世代のA110は、エンジン車ではなくEVとなる予定だ。アルピーヌは今後、ルノー由来のEVプラットフォームをベースにしたモデルラインを展開するが、ブランドの独自性は高度に維持していくという。
アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、「A110のDNAを守り、プラットフォームを共有しながら、他のモデルとは異なるものにしたい」と語っている。「現在ではEVはよく似たものとなっています。プラットフォームもパワートレインも同じで、モーターの出力を微調整するだけでいいのです」
今回公開されたA110 E-terniteは、2025年に登場するEVモデルとの関連性については明言されていないが、コンパクトで軽量、ダイナミックな性能とスピードという、ファンに定評あるフォーマットに対するアルピーヌのコミットメントと位置づけられている。
フラッグシップスポーツカーの電動化に向けた実験的なプロトタイプで、アルピーヌは「名誉ある過去と、野心的な未来との架け橋」と表現している。
A110のDNAを未来にも
A110 E-terniteは、現行モデルと同じシャシーをベースに、ルノー・メガーヌEテック・エレクトリックのバッテリーを使用している。A110の特徴であるミドシップならではのハンドリングを再現するため、バッテリーを複数のケースに収め、重量配分を考慮しながら配置している(フロントに4個、リアに8個)。
バッテリー重量は392kgだが、アルピーヌによると全体的な重量増加は258kgに抑えられ、車重は1378kgとなっているという。もし、次期A110 EVの車重がこの程度であれば、市販EVの中で最も軽い部類に入るかもしれない。軽さはハンドリングだけでなく、エネルギー消費効率にも有利に働く。アルピーヌは、1回の充電での航続距離を420kmと謳っている。
プロトタイプの性能は、標準のA110に匹敵するものだ。リアに搭載された1基のモーターから最高出力242psと最大トルク30.5kg-mを発生させ、0-100km/h加速4.5秒、最高速度249km/hを達成する。
トランスミッションについてはゲトラグ社と協力して、標準のDCTを電動パワートレインに適合させたという。これにより、「コンパクトで軽量でありながら、トルクの切れ目をなくすことができる」とのこと。
A110 E-terniteのデザインは、オープンルーフと専用のリアデッキを除けば、内外装ともに標準と変わらない。キャビンには、タッチスクリーン、サウンドシステム、クライメート・コントロールがそのまま採用されている。
ルーフパネルは自社で設計・製造したもので、一部にリサイクルカーボンを使用することで、剛性と重量を最適化しつつ持続可能性を高めている。
アルピーヌは、A110 E-terniteの開発に費やした費用や期間を明らかにしていないが、目的としては「次世代モデルを電動化すること、そして現実的な予算内で、軽量で俊敏なスポーツカーの代表格であるA110から始める」ものだったという。