空力の職人技、シビック・タイプRがどう変わる? ホンダアクセスのリアウイングに付け替えて走る!
公開 : 2022.10.18 21:47 更新 : 2022.10.19 02:32
サメの歯?鋸の歯? 実効空力デバイス
HACウイングの翼型はNASAの前身となったNACAが開発した非対称厚翼型のNACA4412をベースにインディカーなどでお馴染みのガーニーフラップを組み合わせている。
標準ウイングに比べると見た目にはダウンフォース強化型の形状だが、HACの空力開発のこだわりの1つが空力バランスなので、フロント周りに変更を加えていないことからダウンフォースは標準型同等となる。
HACウイングの下面には、シャークティースとでも呼びたくなる“三角形が連続した渦流発生器”が一体成型されている。
ここで生まれた沢山の小さな渦流がウイング下面付近の空気流を剥離させ、車体後方に大きな渦流が発生するのを予防。車体後方の空気流を整流することで車体挙動収束性が向上するらしい。
「らしい」としか言えないのは、車体後方の負圧分布や、あるいは負圧によるドラッグシュート的安定向上効果のような気もするのだが、明快な理由は聞けなかった。
ちなみに、開発は手作業によるウイング形状の細かな変更と試走を繰り返したカット&トライとトライ&エラーによるとのこと。
HACでは実効空力と呼んでいるが、走りが変わったものを選択しているのだから「実効」は当然だろうし、個人的には空力職人と呼びたい。
ならば、Nボックスに「歯」だけ付けてみよう
シャークティースの効果を体感すべく、試乗会場にはマグネットシートで造られたシャークティースをルーフ後端に貼ったNボックスも用意されていた。
マグネットシートなのは、剥がしたり貼ったりで効果の確認を行うため。
頑張って60km/h出るかどうかのコースで本当に違いが出るのか半信半疑だったが、果たして効果は……あった。
上下動もロールも車体挙動の収束がよく、同じ路面・同じ速度で走って挙動が落ち着いている。見えない空気の流れに困惑してしまう。
シビック・タイプR用HACウイング(正式にはテールゲートスポイラー)はドライカーボン製。赤いポリエステルを織り込んでいるのがオシャレ。織り柄も綺麗に整っていて品質も相当なもの。
価格は27万5000円だが、見た目の価値と走りの質感向上の点からかなり魅力的。新型になってシビック・タイプRそのものがマニアックなスポーツモデル特有のストレスを減らしているが、HACウイング装着では“走りの質”がさらに高まっている。
付け加えるなら、乗り味の改善はドライバーだけでなく同乗者にとっても有意義。カスタマイズとしては費用対効果も上々だ。