贅を極めた超高級EV ロールス・ロイス・スペクター 世界初公開の2ドア・クーペ

公開 : 2022.10.19 05:25

シャシー

スペクターは2975kgと、ロールス・ロイスの中で最も重いモデルである。しかし同時に、電動化のための新しい設計により、最も高い剛性と、これまでで最も高度なサスペンションシステムを備えている。

スペクターのEV専用シャシーは、「ロールス・ロイス3.0」と呼ばれるもので、2003年に先代ファントムを発売して以来、3番目の専用アーキテクチャとなる。このアーキテクチャでは、ゴースト、ファントム、カリナンに匹敵する洗練性と運動能力の実現を目指した。

ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイス・スペクター    ロールス・ロイス

アルミの押し出し材を使い、バッテリーを車体構造に組み込むことで、剛性を30%向上させたという。また、床下バッテリーの利点として、完全にフラットなキャビンフロア、低い着座位置、「ほぼ700kgの消音」が挙げられる。

ミュラー・エトヴェシュCEOは、「走行性能はゴーストやカリナンとは異なります。テスラのような『ルーディクラス(滑稽)』モードにはなりませんが、これまでにない方法で壮大に漂うのです」

走りの面で重要な役割を担うのは、ゴーストのものを応用したプラナー・サスペンションで、高速プロセッサーを使って路面状況とドライバーの入力をモニターし、ロールス・ロイスのトレードマークである「魔法のじゅうたん」の乗り心地を作り出す。また、コーナーが近づくとダンパーを硬くし、ロールバーを接続して、後輪操舵システムを起動させ、「楽な進入と脱出」を実現する。

インテリア

ロールス・ロイスは「スペースに勝る贅沢はない」と語り、広々としたスペクターのキャビンを強調している。

2ドアではあるが、2+2ではなく、明確に4シーターであるとミュラー・エトヴェシュは言う。「そのため、2人以上の移動に非常に適していると言えるでしょう」

ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイス・スペクター    ロールス・ロイス

全長5453mm、ホイールベース3210mmと、レイスよりもわずかに長い。トランスミッショントンネルがないため、キャビンスペースは目に見えて大きくなっているはずだ。

インテリアは、近年のロールス・ロイスの特別仕様車に共通する「夜空」をイメージしたモチーフで飾られている。例えば、オプションのスターライト・ドアパネルでは、5876個のミニLEDライトで星を表現しており、助手席前のダッシュボードパネルには、停車中に5500個以上の星が車名を囲うように表示される。

さらに重要なのは、次世代インフォテインメント・プラットフォーム「スピリット」の搭載である。ブランド専用のスマートフォンアプリ「Whispers」と互換性があり、さまざまな機能を遠隔操作したり、ライブの走行データや車両データにアクセスしたりすることができる。これは、デジタルにおけるパーソナライゼーションの重要性が高まっていることを示唆している。

スピリットは基本的に、iXやi7に搭載されているBMWの第8世代iドライブをベースに、ロールス・ロイスのインターフェイスを組み合わせたものだ。しかし、ミュラー・エトヴェシュCEOは、BMWの兄弟車との繋がりは非常に緩いとしている。

「現存する最高のものをさらに良くする、という創業者ヘンリー・ロイスの感覚とでもいいましょうか。それはまさに、BMWグループと協力してロールス・ロイスを設計していくことだと思います。1つだけ確かなことは、このクルマはロールス・ロイスであって、BMWの改良型ではまったくない、ということです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事