ポルシェ・タイカンでグランドツアー 航続距離505km 24時間で何か国回れる? 後編

公開 : 2022.11.05 09:46

オランダから最新のEVでどこまで走れるのか。英国編集部がタイカンで欧州を巡るグランドツアーを敢行しました。

スイス→リヒテンシュタイン→イタリア

ドイツの南西、リンダウへ移動してポルシェタイカンを再び充電。駆動用バッテリーを95%まで回復させ、この先は約320kmを一息で走る。スイスのアルプス山脈を抜けながら、オーストリアとイタリアの国境、ブレンナー峠を越える。

小さなリヒテンシュタインを10分たらずで通過し、タイトなカーブが続くワインディングを進む。勾配がきつく、航続距離は当初の想定値からみるみる短くなる。イタリアへは翌日の3時25分に入国。駆動用バッテリーの残量は10%だった。

ポルシェ・タイカン・パフォーマンスバッテリー・プラス(英国仕様)
ポルシェ・タイカン・パフォーマンスバッテリー・プラス(英国仕様)

イタリアの北端、ブレンネロの町に設置された急速充電器では、今回のグランドツアーで最速となる262kWの充電スピードが得られた。完了を待っている間、タイカン・クロスツーリスモで旅行帰りだというドライバーと話すこともできた。

彼らはイタリア半島のアマルフィ海岸で休暇を楽しんだ後、フィレンツェでブランド品を買い、深夜の空いた道でドイツ・ハンブルクへ戻る途中だという。普段はどんな仕事をしている人なのだろう。

イタリア→オーストリア→スロベニア

イタリア北部からオーストリア南部を抜ける道すがら、ワインディングで現在のBEVとしてベストといえるタイカンのドライビング体験に浸る。ステアリングは極めて正確で感触が豊か。ブレーキは安定していて、ペダルの踏み心地も見事だ。

300kmほど続くアルプス山脈沿いのルートで、存分にポルシェを堪能することができた。運転する喜びが、そこにはあった。

ポルシェ・タイカンで挑んだグランドツアーの様子
ポルシェ・タイカンで挑んだグランドツアーの様子

しかも、オーストリアからスロベニアへ向けては下り坂。タイカンは知的なアダプティブ回生ブレーキの能力をいかんなく発揮し、位置エネルギーを電気エネルギーに変換していく。ここまでの行程で、予定から遅れていた30分を取り戻すこともできた。

夜の道は空いていて、巡航速度も理想的だった。国境警備隊はパスポートを殆ど見ずに通過を許可し、7時30分にスロベニアへ入国。駆動用バッテリーには50%も電気が残っていた。

北部のラドブリツァという町での充電は、30分も必要とせず再出発できたほど。あっという間に休憩時間が終わったことに、助手席の同僚が残念そうに話す。「今回の旅の充電行程は、ドライバーに容赦ありませんね」

次の充電ポイント、スロベニア南東部のスメドニクまでは132kmと比較的短距離。ふと広域の地図を見ると、自分でも驚くほどのペースで遠くへ到達していることに感心してしまった。平均の移動速度は、当初の計画よりかなり速い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニール・ウィン

    Neil Winn

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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