クルマ好きを魅了するNA V12 アストン マーティンDBS 英国版中古車ガイド 誰もが認める美貌
公開 : 2022.11.02 08:25
新車時代のAUTOCARの評価は
DBSは理想的なDB9といえる。よりシャープに研ぎ澄まされたクーペであり、公道との相性は高いまま。運転する時間が伸びるほど、走る距離が増えるほど、アストン マーティン史上最高のグランドツアラーだと実感するだろう。(2008年2月13日)
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アダム・パウダーハム氏:チルターン・アストン社代表
「DBSはアストン マーティンの歴代ラインナップでも、最も広く名の通ったモデルの1つ。時代を超越した美しさが与えられています。抑揚あるボディラインに勇ましいフロントマスク、カーボンファイバー製のトリム類など、その美貌は誰もが認めることでしょう」
「最近の英国では、DBSを実際に運転して楽しんでいるオーナーが増えています。同時に、クラシックカーとしての価値を急速に高めてもいます。消耗が激しいことは事実ですが、定期的なメンテナンスに掛かる小さくない費用を惜しまないで欲しいですね」
「当社では、直近3か月の間に12台のDBSを整備しました。クルマによって必要な作業内容は異なり、乗られ方や状態によって大きく変わってきます」
「ワークショップの技術者は、誰もがDBSは素晴らしいクルマだと認めています。アルミ製VHプラットフォームの量産モデルとして、最も美しいクルマだともね」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
初期型のDBSの場合、吸気マニフォールドの吸気音に耳を傾ける。音が変化するように聞こえても、回転数が変わらなければ正常だ。後期のDBSでは、そのマニフォールドに改良を受けている。
走行機会が少ないクルマの場合は、オイルサンプ・ガスケットからエンジンオイル漏れすることがある。
トランスミッション
初期のMTでは低速走行時にクラッチを接続し、鳴かないか確認する。異音が出ているなら、パッドの素材に問題がある証拠といえる。
タッチトロニックと呼ばれるATは、シフトセレクター・ボタンで正しく切り替わるか確かめる。初期型では正常に動かず、警告灯が灯る場合がある。システム・リセットで警告灯は消せるが、正規ディーラーや専門店での点検が必要。電気的な作業で完治は可能だ。
ブレーキ
ブレーキディスクをハブ側に固定する、12本のボルトの状態を確かめる。手荒く乗っていると加熱が原因でボルトが痛み、ディスクが緩むことがある。ボルトはブレンボ社から新品を取り寄せられる。ディスクもパッドも安くないため、早めの点検と対応が重要。
サーキットで熱心に運転しなければ、ブレーキは11万km程は保つ。
サスペンション
ビルシュタイン社のダンパーは液漏れする場合がある。その原因は、シール材の隙間から侵入した汚れ。後期のDBSでは、それに対応するためダブルシール化されている。
ボディとシャシー
ドアハンドル付近に、雨水の侵入が原因で生じる水ぶくれがないか確かめる。早めに対応しないと、状態は悪化する一方。給油口付近に溜まった雨水は、荷室や燃料タンク内に流れ込んでしまうことがある。
コンバーチブルでは、水が原因で電動のフードラッチが故障することも。高価な部品なため、事前に正しく動くか確かめたい。