マイルドHVの3.0L直6ターボ BMW X7 xドライブ40iへ試乗 40dに次ぐベターチョイス

公開 : 2022.11.04 08:25

マイルドHVになった3.0L直6ガソリンターボ

パワートレインで大きな変更といえるのが、改良を受けたB58型3.0L直列6気筒ガソリンターボがマイルド・ハイブリッド(HV)になったこと。xドライブ40iに搭載されるユニットだ。

スターター・ジェネレーター(ISG)がZF社製8速ATの前方、クランクシャフトと直結する形で搭載され、エンジンをアシスト。燃費を改善するため、低負荷時にはエンジンを停止させ惰性走行も可能としている。

BMW X7 xドライブ40i(北米仕様)
BMW X7 xドライブ40i(北米仕様)

最高出力は380ps、最大トルクは54.9kg-mとなり、フェイスリフト前から47psと7.0kg-mも増強されている。ISGは12psと20.0kg-mを発揮する。

実際に公道へ出てみると、X7 xドライブ40iは至極滑らか。太いトルクで粘り強く、必要に応じて強力な加速を引き出せる。

確かにX7 M60iが搭載する4.4L V8ツインターボ級のたくましさや勢いは得られないが、マイルドHV化により、間違いなく従来より余裕が生まれている。BMWのストレート6らしく、6800rpmまで意欲的に吹け上がるのも好印象。楽しさも磨かれた。

トルクコンバーター式8速ATも、相変わらず優秀。エンジンの勢いに関係なく、迅速丁寧に変速をこなしてくれる。

フェイスリフトのノベルティとして追加されたのが、ローンチ・コントロールとスプリント機能。後者は走行中に左側のパドルを引き続けることで、可能な限り低いギアを選びエンジンの能力をフルに発揮させるもの。

同時にドライブモードも意欲的なものへ自動的に切り替わる。ちなみに、モードはパーソナルとスポーツ、エコ、インディビジュアルという4種類が用意される。

秀でた姿勢制御と印象的な乗り心地

0-100km/h加速の時間は5.8秒で、フェイスリフト前から0.3秒も短縮した。パワーアップしたエンジンと、ISGによるアシストの結果といえる。

パワフルなだけでなく、洗練性も高い。高速道路を流していると、車内は極めて静かな空間に落ち着く。燃費も良くなっており、エコモードで10.9km/Lが主張される。以前は10.4km/Lだったから、ガソリン1Lで500m多く走れる計算だ。

BMW X7 xドライブ40i(北米仕様)
BMW X7 xドライブ40i(北米仕様)

現在の基準では、車重が2340kgあることもあり、380psをもってしてもX7 xドライブ40iは積極的な運転を得意とするSUVとはいえない。しかし、アメリカ・カリフォルニア州パームスプリングス郊外の峠道では、不足ない軽快さと落ち着きを確かめられた。

その走りを支えているのが、アダプティブダンパーとセルフレベリング・システムを備えたBMW最新のエア・サスペンション。秀でた姿勢制御を実現しつつ、印象的なまでに快適な乗り心地を両立させている。路面の荒れ具合などは、殆ど感じさない。

さらに軽く正確なステアリングホイールの操舵感が、運転する自信を高めてくれる。この背後には、ダイナミック・ハンドリング・パッケージの一部となる、インテグラル・アクティブ・ステアリング機能の効能も存在する。

この機能は、速度に応じてリアタイヤを3度から4度の範囲で操舵するもの。実際、大きなSUVながら唸るほどシャープに旋回していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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