アルピナB8グランクーペ試乗 職人芸が薫るアルピナの頂点 同居する直進と旋回の妙

公開 : 2022.10.28 05:45

隠された部分に宿るチューニングの本質

B8グランクーペのスペックを色々と調べていて、このクルマのことがより好きになった。

エンジン関係で目に付くのはALPINAのロゴが小さく入った大きなインタークーラー、そしてV8エンジンのオイルパンはアルピナ自製のアルミ製だという。

アルピナB8グランクーペ
アルピナB8グランクーペ    アルピナ

後ろの方から車体下を覗けば、デフケースもアルミ製の大型フィンが付いたよく冷えるタイプになっている(M8にも似たものが付いていたので、これはアルピナ製じゃないかも)。

現代のエンジン・チューニングというとコンピューターいじってターボの圧上げて、みたいな手法が真っ先に思い浮かぶが、昔は違った。

まずベース車の弱点を強化しつつ、そこで生まれたキャパシティのぶんだけパワーアップを施す。

インタークーラーの効率を上げるのは負荷少なめの手堅いチューンだし、オイルの冷却に万全を期す手法は、カタログ上では誇りにくいが信頼性に効く。

B8グランクーペのベースとなったBMW M850iの最高出力は530ps。そこから91psを上乗せするための手法は驚くほど本質的なのである。

何しろアルピナはサーキットの1周が速いだけではだめで、アウトバーンでずっと最高巡航速度 (B8は324km/h)を保って走れなくてはならない。そのための創意工夫が、見えない部分に数多く含まれている。

BMW Mのエンジンを得てすこぶる元気なB3よりB8の方がアルピナの伝統に忠実? 

電動化の前に乗るべき1台があるとすれば、それはB8グランクーペだ。

アルピナB8グランクーペのスペック

価格:2557万円
全長:5090mm
全幅:1930mm
全高:1430mm
ホイールベース:3025mm
車両重量:2140kg
パワートレイン:V型8気筒4400ccターボ
最高出力:621ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.6kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

アルピナB8グランクーペ
アルピナB8グランクーペ    アルピナ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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