買えるときに買っておけばよかったクルマ 12選 価格高騰で手が出せない名車たち

公開 : 2022.10.29 06:05

誰にでも後悔はあるもの。今回紹介するのは、個人的に「あの時買っていればよかった」と思う12台のクルマです。チャンスがあれば、あるいは判断を誤らなければ、人生は変わっていたかもしれません。

あの時買っておけば、と後悔しているクルマたち……

愛して失う方が、まったく愛さないよりましだ、と言われる。英国の詩人が残した言葉らしい。自動車愛好家たちは、昔売るべきでなかったクルマについて、よく話をする。1980年にはした金で売り飛ばしたクルマが、今ではその何倍もの値をつけていることも珍しくない。

しかし、それ以上に悔しいのは、高値で取引されるためにせっかくの名作を味わうことができないことだ。気になっていたクルマが新車を超える価格で売買されているのを見ながら、「あの時買っておけばよかった」とビールを飲みながらつぶやく人もいるだろう。少年・少女時代に恋い焦がれていたあの子が、大人になった今では誰もが知るスターになってしまったような、そんな感覚。

昔は買うチャンスがあったけど、今では手が届かない存在になってしまったクルマを12台紹介する。
昔は買うチャンスがあったけど、今では手が届かない存在になってしまったクルマを12台紹介する。

筆者もその気持ちはよく理解している。手を伸ばすのが遅すぎたために、多くの夢が指の間をすり抜けていくのを見てきた。そこで今回は、個人的にチャンスがあれば買っていたかもしれない、買うべきだった、そして買うつもりだった、しかし何らかの理由で買わなかったクルマを紹介する。これを読まれた読者なら、どんな1台を挙げるだろうか?

アウディ・クワトロ

アウディ・ウア・クワトロ(Ur-Quattro、オリジナルモデル)が、筆者の手の届くところにまで近づいてきた時期があった。ラリーファンである筆者は、インゴルシュタットの革新的な四輪駆動車を常にお気に入りの1台に数えており、2000年代初頭に新社会人となった身としてはまさに目標であった。

当時、ショートホイールベースのスポーツ・クワトロはすでにクラシックカーとして確立されつつあったが、1980年代半ばから後半にかけてのクワトロ10Vは、「別のアウディ」と言えるほど一般的なクルマだった。見栄えのする個体でも4000ポンド(約67万円)まで値下がりしていたのだ。

アウディ・クワトロ
アウディ・クワトロ

とはいえ、大学卒業直後の筆者は、資金繰りをきちんとしなければならない。すぐには手を出さず、「心配ない、待ってみよう」と思った。しかし、いざその気になった頃には、クワトロの価値は急上昇していた。先駆的なパフォーマンスカーの魅力に、誰もが気づいてしまったのだ。今や、状態の良い個体では5万ポンド(約840万円)を超えるようになり、筆者は間違いなくチャンスを逃した。グループBの夢のプランBはもうない。

フェラーリF355

さて、栄光のフェラーリF355は、どこから手をつけていいのやら。フェラーリ史上最高のハンドリングを誇る、V8ミドシップのクーペ。運転補助装置が普及する前、果てしない安全規制や排ガス規制の前に作られた、最後の1台である。

快適性や高級感などは今と同じようなものだが、故障のリスクを負った電気系統が少ないのが大きな違いだ。しかも、フェラーリ最後のマニュアルの1つ、カチッカチッと音がするオープンゲートのマニュアル・トランスミッションを備えている。

フェラーリF355
フェラーリF355

10数年前に探していたときは、4万ポンド(約670万円)でいい中古車が見つかった。2年前は7万ポンド(約1180万円)くらいだっただろうか。今は、10万ポンド(約1680万円)を切るのはラッキーだし、いい個体は20万ポンド(約3300万円)に迫る勢いだ。悲しいかな、当時は4万ポンドも余裕がなかったし、今も10万ポンドも余裕がない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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