復活スズキ・エスクード 持ち味は? ハイブリッド化で、SUV戦国時代に存在感を示せるか

公開 : 2022.10.28 12:03  更新 : 2022.10.28 12:18

エスクードの乗り味 ここがミソ

車軸規制が甘いような揺動感や微小なばたつきなど、サス周りの剛性感が低め。

この辺りが洗練感の乏しさや古臭さと感じられるのだが、車軸規制の緩みで衝撃を往なすオフロード向けのサスならありがち。

エスクードの最低地上高は185mmだ。
エスクードの最低地上高は185mmだ。    前田惠介

オンロード志向のユーザーには質感の面での短所となるが、悪路前提でSUVを乗り継いできたユーザーなら馴染みやすくまとまりがいいわけだ。

操安については引き締まった接地感ではないものの、コーナリング中の前後の荷重バランスは落ち着いている。

機敏さや精度感のある操縦感覚ではなく、サイズの割りに重量を感じさせる挙動だが、神経質な操作が不要なので初見の山道でも運転ストレスは少ない。

これも乗り心地同様にオンロード志向のSUVと比較すればルーズという評価になるが、悪路も前提としたSUVとすれば納得。要するにフットワーク全般がコンパクトSUVではラフロード寄りの印象なのだ。

コンパクトSUV市場の見極め方

車体寸法はコンパクトSUVでも小柄。平面寸法はヤリスクロスとほぼ同等で、ヴェゼルより一回りコンパクト。

両車のハイブリッド4WD車の上級グレードの価格は290万円前後。エスクードとラップする価格設定だ。

後席を倒した状態。駆動用のリチウムイオンバッテリーは、荷室下に配置されている。
後席を倒した状態。駆動用のリチウムイオンバッテリーは、荷室下に配置されている。    前田惠介

エスクードが今上り調子のコンパクトSUV市場、中でも人気のハイブリッド車に照準して開発されたと読むのが妥当だと思うが、選択肢の拡大はユーザーにはメリット。

ただし、コンパクトSUVと「一括り」にするもののキャラや適応用途が丸被りする訳ではない。

とくに、悪路対応力のばらつきはコンパクトSUV選びの要点の1つ。上級クラスに比べると悪路対応力は全体的に低め。最低地上高も4WDシステムも降雪地域の生活四駆レベルの車種もあり、アウトドア趣味のためにSUVを選択するユーザーには注意が必要なカテゴリーである。

総括 オススメのユーザーは?

悪路が得意かどうかは、スペックやカタログの走行写真などである程度の見当も付く。

この試乗ではハードクロカンでの性能チェックはできなかったが、4WD制御にロックモードを備え、他のスペックやサスチューンからしてもエスクードはコンパクトSUVでも“悪路性能自慢”なのは間違いない。

スズキ・エスクード(スフィアブルーパール/グレー2トーンルーフ)
スズキ・エスクード(スフィアブルーパール/グレー2トーンルーフ)    前田惠介

キャビンスペースと車体サイズはタウン&レジャー用途にも適したもの。

オンロード用途が大半というユーザーには積極的に勧めにくいが、ラフロード性能を以て行動半径の拡大を考えるアウトドア趣味派には最有力候補足る一車といえよう。

スズキ・エスクード スペック

価格:297万円
全長:4175mm
全幅:1775mm
全高:1610mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:19.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:118g/km
車両重量:1320kg
エンジン形式:1460cc直列4気筒
使用燃料:レギュラーガソリン
最高出力(エンジン):101ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):13.5kg-m/4400rpm
最高出力(モーター):33.4ps/5500rpm
最大トルク(モーター):6.1kg-m/100-2000rpm
ギアボックス:6速AGS
駆動方式:フルタイム4WD
乗車定員:5名

フルハイブリッド・フルタイム4WDのモノグレードで復活したエスクード。車体後部には「HYBRID」「ALLGRIP」のエンブレムが並ぶ。
フルハイブリッド・フルタイム4WDのモノグレードで復活したエスクード。車体後部には「HYBRID」「ALLGRIP」のエンブレムが並ぶ。    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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