容赦ないスーパー・オフローダー メルセデスAMG G 63 4×4²へ試乗 585ps V8ツインターボ 前編
公開 : 2022.10.29 08:25
強力なV8エンジンに可動域の広いアクスル、余裕の最低地上高。究極のスーパー・オフローダーを英国編集部が評価しました。
容赦ないスーパー・オフローダー
メルセデス・ベンツは、このG 63 4×4※(フォーバイフォー・スクエアード)も通常と変わらない走行テストをクリアしたと説明する。オーストリア・グラーツ郊外の過酷なオフロードコースはもちろん、手強いニュルブルクリンク・サーキットも走り込んでいる。
量産版として仕上げられる前に、G 63 4×4は全長5.6kmのオフロードコースだけで300回も往復したそうだ。伝統あるゲレンデヴァーゲンから、極端なほど容赦のないスーパー・オフローダーへ進化させるために。
強力な4.0L V8ガソリン・ターボエンジンに可動域の広いサスペンション、1段高い最低地上高が与えられ、通常のGクラスとは一線を画す。それ例外のシリアスなオフロードモデルとも。
このG 63 4×4は、メルセデス・ベンツの高性能モデルを手掛けるAMGと緊密に連携しながら、Gクラス専任技術者によって開発された。G 500 4×4の後継モデルに相当し、G 63 4マティックがベース。生産はオーストリアのマグナ・シュタイヤー社が担当する。
メルセデス・ベンツは新たにGクラスというサブブランドを立ち上げたが、そのCEO、エメリッヒ・シラー氏によると先代は予想以上の人気を博したらしい。それが、今回の開発に至った理由だと説明する。
「2015年のG 500 4×4は、当初世界規模で150台ほどの生産を見込んでいました。ところがそれ以上の需要があり、最終的には2000台以上を販売しています。大成功といえる結果で、G 63 4×4への動機付けになっています」
圧倒される存在感 先代より131kg軽量
G 63 4×4を目の当たりにすると、その存在感に圧倒される。鮮やかなグリーンのボディカラーだけではない。G 63 4マティックより113mmもリフトアップされ、最低地上高は351mmになった。ほふく前進で反対側に抜けられるほど高い。
ピレリ・スコーピオン・タイヤは、22インチの325/55というファットなもの。幅9.5Jのワイドなホイールと組み合わされ、迫力は半端ない。抵抗を感じる人もいるであろうモンスタートラック的な容姿だが、インパクトの強さは間違いない。
ボディを見上げるように観察すると、アグレッシブさを増す要素もふんだん。ワイドなホイールアーチやスペアタイヤカバー、フェンダーとドアパネル、フロントガラス上のルーフスポイラーなどは、カーボンファイバー製となる。
LEDドライビングライトなどが統合された、90kgまで荷物を積めるルーフラックもオプションで用意。必要なら、テールゲート側にはしごも装備できる。
G 63 4×4の車体構造はラダーフレームに別体のボディを載せた旧来的なものだが、最新のG 63 4マティックと同様に新設計されている。フレームは、高強度スチールとアルミニウムで構成され、ねじり剛性は55%も向上したそうだ。
車重は、ひと回り小さかったG 500 4×4と比べると131kgも軽い。とはいえ、2865kgある。