容赦ないスーパー・オフローダー メルセデスAMG G 63 4×4²へ試乗 585ps V8ツインターボ 前編

公開 : 2022.10.29 08:25

ポータルアクスルで351mmの最低地上高

サスペンションは、従来はフロント側がリジッドアクスルだったが、G 63 4×4ではダブルウイッシュボーン式を採用。通常のG 63と同様に、よりストロークの長い足まわりを得ている。

リア側はリジッドアクスルのままながら、4本のリンクを左右へ配置。パナールロッドも追加し、剛性が高められた。ダンパーはツインチューブではなくシングルチューブで、磁性流体を封入しており、減衰力特性は連続的に調整される。

メルセデスAMG G 63 4x4(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63 4×4(欧州仕様)

351mmの最低地上高は拡大したタイヤだけでなく、ドライブシャフトより下側にハブを配置する、ポータルアクスルによって叶えている。Gクラスでは2013年のG 63 6×6にも導入された技術だが、G 63 4×4ではギアを強化するなど開発し直されたという。

悪路の走破性に影響する、フロント側のアプローチとホイールベース部のランプ、リア側のデパーチャーという各アングルは、それぞれ41.3度、42.0度、36.8度を得た。G 63比で10度前後増している。渡河水深限界は210mmも増え、910mmある。

覗き込むのが大変なボンネット内には、AMGが手掛けた4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジンの進化版が収まる。最高出力585ps、最大トルク86.5kg-mを発揮し、G 500 4×4比で約163psと24.2kg-mも増強された。ただしこれは、通常のG 63と同様だ。

充分な道幅があれば運転は難しくない

駆動系は9速ATに、センターコンソール上のスイッチで個別にロックできる、前後と中央の3デフを備えた四輪駆動システムという組み合わせ。オフロード・モードには、トレイル、ロック、サンドの3種類がある。

メルセデス・ベンツがダイナミックセレクトと呼ぶドライブモードは、インディビジュアル、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、スリッパリー(滑りやすい路面)という5種類。究極のGクラスといっても良さそうだ。

メルセデスAMG G 63 4x4(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63 4×4(欧州仕様)

ここまでワイルドなGクラスの運転は、気がひけるという読者もいらっしゃると思う。だが実際は、充分な道幅さえあればさほど難しくない。1度大きさに慣れてしまえば、高速道路の長距離ドライブなら恐れる必要はないだろう。

それ以前に難しいのが、G 63 4×4へ乗り込むこと。フロアが高いため、太ももを持ち上げてサイドステップに足をかけ、ハンドルを掴んでよじ登るしかない。そうすれば、クッションが効いて座り心地の良いAMGスポーツシートが迎えてくれる。

シートの座面を1番下に調整しても、地面は遥かに下方。フラットなボンネット越しの、前方視界は優れている。テールゲートに固定されたスペアタイヤの影響で、後方視界は限定的。カメラ映像を用いたデジタルミラーが役に立つ。

インテリアの設えは、基本的には通常のG 63と変わらない。先代のG 500 4×4より横方向にかなり余裕が出ている。フロントガラスは直立し、ダッシュボードは浅く、クラシカルな雰囲気も漂う。

この続きは後編にて。

※AUTOCAR上では上付きの2が記載できないため、省略しています。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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