容赦ないスーパー・オフローダー メルセデスAMG G 63 4×4²へ試乗 585ps V8ツインターボ 後編

公開 : 2022.10.29 08:26

強力なV8エンジンに可動域の広いアクスル、余裕の最低地上高。究極のスーパー・オフローダーを英国編集部が評価しました。

砂利道でもアスファルトと同等の加速

メルセデスAMG G 63 AMG 4×4※のダッシュボードには、モニター式のメーターパネルとインフォテインメント用タッチモニターが据えられ、装備は最新モデルにふさわしい。下部がフラットになったマルチファンクション・ステアリングホイールも付く。

インテリアの素材は細部まで上質で、カラーバリエーションも豊富。英国では26万473ポンド(約4375万円)もする、ラグジュアリーなオフローダーだと実感できる。

メルセデスAMG G 63 4x4(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63 4×4(欧州仕様)

シートレイアウトは2名+3名の5シーター。リアのベンチシートは、60:40に分割して倒せる。荷室容量は5名乗車時で667L。リアシートを折りたたむと1246Lへ拡大できる。ただし荷室フロアは高く、サイドヒンジのテールゲートは重く、荷物は積みにくい。

確認はこのくらいにして、AMGが開発した4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジンを点火してみよう。左右2本づつのサイドエグゾーストから、低音の利いた排気音が唸り始める。

最大トルクの86.5kg-mは2500rpmから得られ、車重の軽くないG 63 4×4を勢いよく加速させる。高めのギアでのクルージング時には、粘り強さへ感心する。車重が3t近くあるため、585psでも驚くほどのダッシュ力ではないが。

何より驚かされたのが、砂利道でもアスファルトと同等に加速できること。知的な四輪駆動システムは、リアタイヤ主軸にトルクを分配しつつ、確かなトラクションを維持してくれる。

ボディロールは抑制 高速にカーブを処理

メルセデスAMGによれば、0-100km/h加速を5.0秒でこなすという。最高速度は210km/hに制限される。標準のG 63 4マティックより0.8秒遅く、11km/hほど低い数字だ。ちなみに先代へ当たるG 500 4×4は、6.5秒と210km/hが主張されていた。

操縦性も先代から明確に改善している。ステアリングラックが、旧来的なボールナット式から電動機械式のシステムへアップデートされたことが、理由の1つといえる。操舵感はダイレクトで、旋回時の反応もイイ。

メルセデスAMG G 63 4x4(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63 4×4(欧州仕様)

巨大なタイヤとホイールは、バネ下重量を増大させる。首を痛めそうな敏捷さはないものの、ボディサイズを考えれば意欲的にコーナーへ飛び込んでいく。精度も高められており、不安感なくラインを辿れる。

ステアリングホイール自体は重く、繊細に指先で角度を調整するタイプではない。腕の筋肉を使って、押し込んでいくような運転が必要だ。

全高が2.25m近いだけあって重心位置も高いはずだが、ボディロールは抑制されている。フロントタイヤのグリップは非常に高く、想像を上回るほど高速に連続するカーブをこなせる。限界が迫るとスタビリティ・コントロールが介入するが、出番は限られていた。

深いワダチや隆起部分などは、見事に押しなだめる。ストロークの長いサスペンションと肉厚なタイヤをもってすれば、余程大きな穴でもない限り問題なくやり過ごせるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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