大胆フォルムで削った空気抵抗 ヒョンデ・アイオニック6へ試乗 航続距離614km
公開 : 2022.11.08 08:25
アイオニック5の成功に続くべく、テスラ・モデル3のライバルが登場。完成度の高さを英国編集部は評価します。
もくじ
ー大きくカーブを描くスタイリング
ー電費効率6.9km/kWh 航続距離614km
ーアイオニック5と共通要素の多いインテリア
ーアイオニック5より引き締まったシャシー
ー長距離ドライブを楽しくこなせるBEV
ーヒョンデ・アイオニック6 AWDロングレンジ(韓国仕様)のスペック
大きくカーブを描くスタイリング
ヒョンデのデザイナーは、かなり大胆なことがお好きなようだ。新しいアイオニック6は、大きくカーブを描くスタイリングが何より目を引く。リアはポルシェ911のように見えなくもない。
現在のヒョンデが保守的な自動車メーカーだとしたら、アイオニック6のような見た目のクルマは登場しなかっただろう。各市場で成功を収め日本市場でも販売される、アイオニック5に似たデザインが与えられたのではないだろうか。
ハッチバックのルーフラインを引き伸ばし、アイオニック5 クーペとして売られていたかもしれない。実際、プラットフォームは共有している。
ヒョンデは従来の概念を破り、最先端のバッテリーEV(BEV)へ積極的に取り組むことで、欧州におけるブランド・ポジションを1段高めることに成功した。現在にとらわれず、新しいスタイリングを開発したとしても驚く事実ではない。
四角いヘッドライトが4灯並ぶ、パラメトリック・ピクセルと同社が呼ぶヘッドライトの雰囲気は、アイオニック5と近い。だが、それ以外のボディはまったくの別物だ。
ヒョンデのデザインチーフを務めるサイモン・ロースビー氏は、0.1xというテーマを掲げてこのスタイリングを導き出したという。可能な限り空力抵抗を小さくした、4シーターで4ドアのBEVサルーン創出を目指したという。
電費効率6.9km/kWh 航続距離614km
実際のところ、アイオニック6の空気抵抗を示すCd値は0.21。目標の0.1台には届かなかった。
ロースビーは、「0.21は失敗かもしれませんが、仕上がりは失敗ではありません」と話す。アイオニック6は、ヒョンデが開発した量産車で最も空気抵抗が小さいという。評価すべき結果といえる。ちなみにアイオニック5のCd値は、0.29ある。
その努力は航続距離として表れている。公式の電費効率は6.9km/kWhと優れ、航続距離はシングルモーターで614kmが主張される。アイオニック5と同じE-GMP プラットフォームと77.4kWhの駆動用バッテリー、モーターを積みながら100km以上も長い。
この航続距離は、ヒョンデがライバルに掲げるポールスター2の548kmや、テスラ・モデル3 ロングレンジの601kmより長い。目には見えない空気が、効率に大きな違いを生むようだ。
パワートレインには、229psの駆動用モーターをリア側に搭載した後輪駆動と、333psのツインモーターとなる四輪駆動の2種類が用意される。駆動用バッテリーは77.4kWhの他に、安価な58kWhも市場によっては選択できるという。
先出の614kmという航続距離は、仕様によっても変化する。シングルモーターなことに加えて、18インチ・アルミホイールとカメラを用いたデジタル・ドアミラーを指定する必要がある。
今回の試乗車は、20インチ・ホイールを履いたツインモーター。デジタル・ドアミラーは採用するが、電費効率は5.9km/kWhへ落ち、航続距離は518kmが主張される。