大胆フォルムで削った空気抵抗 ヒョンデ・アイオニック6へ試乗 航続距離614km
公開 : 2022.11.08 08:25
アイオニック5と共通要素の多いインテリア
試乗では、複合的な条件で6.4km/kWh前後の電費効率が得られており、実際に500km近くは走れるようだ。BEVのシステムは電圧800Vと高性能で、急速充電は最大233kWまで対応。残量10%から80%まで、最短18分で回復できる。
空気抵抗だけでなく、均質化傾向にあるBEVの中にあって、アイオニック6のスタイリングは他との差別化にも結びつけている。丸みを帯びたシルエットだけでなく、リアバンパーの垂直フィンの処理など、ディティールも印象的だと思う。
サイズ感は掴みにくい。アイオニック5と比べて全長は200mm以上長い4855mmで、全幅は1880mmと10mm狭い。全高は1495mmあり、約100mm低い。ホイールベースは僅かに短いが、車内空間は同等に広い。
内装は、アイオニック5と共通する部品が多いことがわかる。とはいえ、清潔感と高級感があるため、まったく不満に感じることはない。
メーター用とインフォテインメント用、2面のモニターが一体となったパネルがダッシュボード上で存在感を示す。表示は鮮明で見やすく、ソフトウエアの動作も良好。4096色から選べるという、アンビエントライトが内装パネルに仕込まれている。
加速時に車内へ響く人工音が変化する、e-ASDという機能も実装された。ヒョンデは宇宙船のような音だと主張するが、筆者はオフの方が心地良かった。
アイオニック5より引き締まったシャシー
ダッシュボードの両端には、デジタル・ドアミラー用のモニターが据えられ、後方の状況は確認しやすい。光学的なミラーの方が距離感などは掴みやすいが、モニターの位置自体に違和感はなかった。この装備で、航続距離は約1.5km伸びるそうだ。
弧を描くルーフラインのおかげでリアシート側は頭上空間が制限されるが、リアシートの背もたれを倒し気味にし、座面を低くすることで高さ方向を稼いでいる。空間自体は、ポールスター2やモデル3より余裕がある。
荷室容量は明らかになっていないものの、トランクリッドを開いて見た限り小さくはない。リアガラスも一緒に開くファストバックなら、もう少し余裕が生まれたかもしれない。恐らくCd値に影響が出るのだろう。
航続距離の強みだけでなく、ヒョンデはアイオニック6をドライバーズEVだとも主張している。モデル3より、運転が楽しいと。アイオニック5の場合、サスペンションがソフトで、浮ついた乗り心地と大きめのボディロールが数少ない弱点といえた。
今回試乗したアイオニック6は韓国仕様ではあったものの、確かにシャシーは引き締められ、乗り心地も改善されているようだった。5と比べてコシがあり、荒れた路面を通過しても落ち着きは失われにくい様子。
ステアリングホイールはレスポンスが良く、操舵には安心感が伴う。長いボディサイズやホイールベースを考えれば軽快に身をこなし、狙ったラインも辿りやすい。