マクラーレン・アルトゥーラ 詳細データテスト 鋭いレスポンス 秀逸なハンドリング 難点は乗り心地

公開 : 2022.10.29 20:25  更新 : 2024.11.10 08:56

結論 ★★★★★★★★★☆

マクラーレンアルトゥーラがオートカーに初登場した際には、理想的なスタートを切ったとは言えない結果だったかもしれない。しかし、今回のきわめてタフなテストを、悠々とパスしてみせた。

このクルマをおすすめできるユーザーは、さまざまな公道やサーキットで日常的に使って、運動性の完全さにこだわるひと、さらには妥協なきパフォーマンスとトップレベルのハンドリング、すばらしく洗練されたドライバビリティをいつも感じていたいひとということになる。

結論:すばらしいパッケージ、魅力的なバランス、そして巧みな電動化技術の使い方に脱帽だ。
結論:すばらしいパッケージ、魅力的なバランス、そして巧みな電動化技術の使い方に脱帽だ。    LUC LACEY

逆に、2022年現在における20万ポンド級の、最高にソウルフルかつワイルドでエキサイティングなスーパーカーがほしいひとには、おそらく向いていない。スリルとしつけの行き届いた扱いやすさの適正なバランスを求める、分別あるユーザーにはマッチするはずだ。

アルトゥーラは、電動化プロセスによって能力を高めたが、全面的に新たな分野を開拓したようには思えないクルマだ。多くの点で、マクラーレンのよりよくなった下位スーパーカーにすぎない。ハイブリッドテクノロジーは目標達成のための必要最低限で、控えめな内容だが、それをうまく使っている。

そして、おそらくもっとも大事なことは、このクルマには未来が見えるということである。しかもその未来は、われわれ誰もが見てみたいと思う類のそれだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

アルトゥーラのパフォーマンスを示す主な数字は、1994年にオートカーが計測したマクラーレンF1のそれに薄気味悪いほど近い。それが意味するのは、30年の時を経て、マクラーレンのジュニアスーパーカーが、もっとも偉大な象徴的モデルと同じくらい速くなったということだ。

イリヤ・バプラート

アルトゥーラのV6エンジンは、サウンド面のアピールではやや熱さが足りないのではないだろうか。しかし、電気モーターはなかなか魅力的な音を立てる。低速からフルパワーを引き出すと、映画の宇宙戦闘機を思わせるところがちょっとある。

オプション追加のアドバイス

テクノロジーパックとプラクティカリティパックはマスト。750ポンド(約13万円)のトラックテレメタリーアプリは、サーキット走行の機会が多いなら選びたい。カラーやトリムはお好み次第で。

改善してほしいポイント

・サーキットでかすかに見せるアンダーステアを修正するなら、四輪操舵をつけてはどうだろうか。ただし、フィールのいい電動油圧ステアリングを犠牲にしてほしくはないが。
・ステアリングコラムのチルト角度を、もう少しだけ引き上げられるようにしてもらいたい。
・7ピン充電ケーブルを無償で用意してほしい。20万ポンド(約3400万円)にグラニーケーブルでは似つかわしくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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