約50年ぶりの復活 フェラーリ 新型ル・マンハイパーカー初公開 2023年デビュー

公開 : 2022.10.31 19:05  更新 : 2022.10.31 21:22

ライバルとの「遅れ」を取り戻せるか

スポーツカーレースの最高峰であるWECへの復帰は、ル・マンや耐久レースシーンにおける自動車メーカーの関心の高まりを反映したものだ。2023年、フェラーリは過去5回のル・マン優勝を誇る老舗のトヨタ・ガズーレーシング、今シーズンすでにWECに参戦しているプジョーの先鋭的な9X8、さらにポルシェキャデラックといった新しい挑戦者(LMDh)と戦うことになる。

また、米国資本のグリッケンハウスもLMHで復帰する可能性がある。アルピーヌBMWランボルギーニなども2024年のWEC参戦を固め、準備を進めている。

フェラーリ499Pル・マン・ハイパーカー
フェラーリ499Pル・マン・ハイパーカー    フェラーリ

フェラーリのジョン・エルカン会長は、次のように述べている。

「499Pは、WECシリーズでの完全優勝を目指すフェラーリの象徴です。このプロジェクトに取り組むことを決めたとき、わたし達は革新と開発の道に踏み出しました。サーキットは、最先端技術の限界を押し広げるための理想的な舞台であり、その技術はやがてロードカーに受け継がれるでしょう。わたし達は謙虚に、そして世界耐久選手権で20以上とル・マン24時間レースで9つの総合優勝を獲得してきた歴史を意識しながら、この挑戦に臨みます」

コレッタは、ル・マン100周年記念大会となる2023年のレースにおいて、究極の成功を目指さなければならないとしている。

「わたし達は野心的ですが、ライバルたちがわたし達よりも経験豊富であることも知っています。2022年7月にテストを開始したため、ライバルたちよりも時間がありません。テストの時間は多くはありませんが、できる限り速く進め、セブリングに備えたいと考えています」

「もちろんプレッシャーも大きい。フェラーリがレースで戦うとき、他車より前に出ることを人々が期待するのは普通のことです。わたし達は非常に良いクルマを作り上げましたが、他のメーカーに対して遅れています。まずは安定性と信頼性、そしてコース上での速さが最も重要なポイントになると思います。他のメーカーと競争し、勝利したい。わたし達はこのマシンに全力を注いでいます」

チームは2台の499Pをテスト用に稼働させており、そのうちの1台がイモラで公開されたマシンだ。すでに1万2000kmを走行しているという。「クルマを迅速に開発するためには、2台あることが重要です」とコレッタ。

ドライバーラインナップはまだ発表されていないが、コレッタはGTレースの「ファミリー」の一員であるドライバーでチームを構成することを明言した。その中には英国出身のジェームス・カラドも含まれており、ラインナップ入りがほぼ確実視されている。しかし、シャルル・ルクレールやカルロス・サインツJrなど、F1界からスーパースターが加わる可能性は、少なくとも2023年シーズンは非常に低いと思われる。

「この件に関心があることは理解しています。しかし、繰り返し申し上げますが、フェラーリはフェラーリ・ファミリーの中から選びます。安定した多くのドライバーがいるので、100%社内で選ばれることになます。年末か来年初頭には決定されるでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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