欧州の影もちらほら 中国で新たなEVメーカー「BeyonCa」設立 高級セダン公開
公開 : 2022.11.02 06:05
中国で新たに設立されたEVメーカー「BeyonCa」は、同社初のモデルとして大型の高級セダンを公開しました。会社の設立にはルノーをはじめ、フォルクスワーゲン・グループなど欧州自動車業界が関与しています。
高級EVメーカー 2024年生産開始
新たに設立された中国のEVメーカーBeyonCaは、同社初のモデル「オプタス1」のプロトタイプを発表した。2024年の生産開始を予定している。
オプタス1は、ポルシェ・タイカンのような高級EVに対抗すべく開発された大型セダンで、同社CEOのソー・ウェイミンによると、中国での販売価格は約100万元(約2000万円)になるという。
現時点ではあくまでプロトタイプだが、2023年の上海モーターショーで公開予定の市販モデルとは大きく変わらないという。
スタイリングとしては、BeyonCaのロゴが入った矢印型のグリルをはじめ、細いLEDヘッドライトやスプリッターをフロントに配置。そこからリアにかけて、短いボンネット、大きなホイールハウス、重厚なシル、段差のあるウィンドウライン、湾曲したルーフラインが続き、ボートテールのリアエンドで締めくくる。トランク上部は一体型のスポイラーになっている。
空力効率を高めるため、表面のデザイン処理は全体的に滑らかなものとなっている。
プロトタイプは全長5200mm、ホイールベース3000mmで、ポルシェ・タイカンというよりはメルセデス・ベンツEQSに近いサイズ感だ。
ソーCEOによると、今後発売される市販モデルには、最大容量130kWhのバッテリーが搭載されるという。最大350kWで充電可能な800Vアーキテクチャをベースとし、CTP(セル・トゥ・パック)およびCTC(セル・トゥ・シャシー)の2つの構造を併せ持つとしている。最高出力や航続距離などは、まだ明らかにされていない。
特徴的な機能として、ドライバーの血圧をモニタリングできるセンサーや、緊急事態を知らせるアラームなどが搭載されるようだ。Su氏によると、緊急事態を検知すると自動的に減速したり、緊急レーンに停止したりするなど、運転介入を可能にするソフトウェアが開発されているという。
そして、このような緊急事態が発生すると、BeyonCaヘルスケアサービスが作動し、医師がドライバーの様子を確認して、次に取るべき行動を車載インフォテインメント・システムを通じてアドバイスできるとのこと。
欧州自動車業界の関与も
ソーCEOは、「具体的な方法で『クルマ』を超えるものでなければ、完全なストーリーにはならない。わたしの哲学として、常にこう考えています」と述べた。
BeyonCaは、2021年に元フォルクスワーゲンの中国部門副社長で、現ルノー中国部門CEOのソー氏が設立した会社。社名のBeyonCaは、「クルマを超える」といった意味合いの「Beyond the Car」の略。
北京に本社を置き、ドイツ・ミュンヘンにデザインセンター、シンガポールに人工知能開発ハブを持つ。設立にあたり、武漢の長江証券の子会社、長江キャピタルから武漢政府の仲介で100億元(約2000億円)の投資を受けた。
資金調達の詳細はまだ明らかにされていないが、ルノーと中国の合弁パートナーである東風汽車が関与しているようだ。
ウェイミンCEOはBeyonCaの展望について、アウディA8、BMW 7シリーズ、メルセデス・ベンツSクラス、ポルシェ・タイカンといった高級車セグメントをターゲットにしていると語った。
「当社の考えは、より軽快な企業体質のもとで何かを生み出すことです。当社で1年以上かけて達成したことは、従来の自動車メーカーなら7〜8年かかるでしょう」
BeyonCaの設立やオプタス1の開発には、フォルクスワーゲンの元取締役でマーケティング担当のクリスチャン・クリングラー、アウディの元研究開発責任者ハンス=ヨアヒム・ローゼンピーラー、ベントレーの元デザイン責任者ディルク・ファン・ブレーケルが関わっている。
フォルクスワーゲン・グループの元会長フェルディナント・ピエヒと深い関係にあったクリングラーが関与していることから、ドイツの自動車業界では、ピエヒ一族がBeyonCaの資金調達に関与しているのではないかという噂が立っている。
Beyoncaはオプタス1の生産を中国で行う予定だが、他国での生産活動も視野に入れている。ソーCEOによれば、今後3年から5年で3〜5車種の新型車を発表する計画だという。
オプタス1を生産するのは、武漢に拠点を置く東風汽車だ。開発におけるさまざまな段階に積極的に関与しているという。