熟成度を増した2代目 スバルBRZへ英国試乗 秀逸なエンジンとシャシーを買うクルマ
公開 : 2022.11.12 08:25
2代目へ進化した86に合わせて、BRZも一新。スペインのテストコースで、貴重なFRスポーツを英国編集部が評価しました。
足まわりやECUでブランド間の差別化
フロントエンジン・リアドライブの小柄なクーペとして、2012年に発売された初代スバルBRZは、初代トヨタ86の双子の兄弟といえた。2代目も共同開発されているが、今回は英国人にとって残念な事実がある。スバルのディーラーでは購入できないのだ。
トヨタGR86への英国の試乗レポートは、先日ご紹介したとおり。素晴らしい体験を味わわせてくれた。では、BRZはどのように違うのだろうか。少なくとも、販売価格はわずかに異なるようではあるが。
ちなみに、欧州試乗へ導入されるBRZの数は300台のみ。あっという間に売り切れたらしい。
初代の86とBRZの差は、非常に限定的だった。内容が良かっただけに、悪いことではなかったけれど。2代目ではその違いを強調したと、スバルの開発技術者は説明する。GR86はアグレッシブに、BRZは上質に、個性付けしたという。
その違いは、サスペンションやステアリング、エンジンを制御するECUなどのチューニングで与えられている。リアスタビライザーのマウントも異なるそうだ。足まわりの部品では、軽量なアルミニウムをGR86より多用してもいる。
ただし、明確な差異ではないとも技術者は話す。説明を聞くより、運転しながら感じ取った方がわかりやすいとも。筆者は感じ取ることができるのか、プレッシャーがゼロではなかった。
一歩熟成されたBRZ 発進直後に気付く違い
今回試乗できたBRZは、欧州市場向けに調整を終えたもの。コースはスペイン・マドリード郊外に位置する、テストコースに限られた。
実際にステアリングホイールを握ってみると、2台の違いへ気づくのに時間は不要だった。直接乗り換えてみれば、発進直後の数m、ステアリングホイールの最初の操舵、1つ目の凹凸を越えただけで実感できる。
新しいGR86は、初代に通じる興奮はそのままに、より成長したスポーツカーだと感じさせる。対するBRZからは、さらに一歩熟成された印象を受ける。
走行時の落ち着きや乗り心地は良くなり、ステアリングホイールは手のひらへの感触を失うことなく、若干重みを増している。コーナーではボディロールが少ない。確かに熟成度が増し、ポルシェで得る印象にも近づいたといっていい。
高速バンクカーブで路面の段差を通過すると、GR86では頭が天井方向へ大きめに揺さぶられる。BRZではその上下動が明らかに小さい。
といっても、スポーツカーとしての本質的な特徴は、遠く離れてもいない。GR86と同様に、低いフロントノーズへ収まるのは2.4L自然吸気の水平対向エンジン。先代の2.0Lから遥かに力強さを増し、扱いやすさも拡張されている。
サウンドも磨かれた。滑らかに変速できる6速MTと、重めのクラッチペダルという組み合わせも素晴らしい。両方の手足を使い切って運転できるモデルは、現在では限られる。そしてこれは、GR86にも共通する特長でもある。