【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(10) ポルシェ356ホリディに参加

公開 : 2022.11.06 18:45  更新 : 2022.11.07 10:23

充電繰り返しコンクール・デレガンスへ

2日目の最初の集合場所は庄川インターチェンジ出口にある道の駅桜の郷庄川であった。

356ホリディで設定されたコースは県道であったが、わたしは高速道路を利用し、高鷲と荘川の間にある下りのひるがの高原PAで30分の充電をおこなうことにした。

356クラブのコンクール・デレガンスは、間違いなく日本で1番厳しい審査をおこなっていると思うと筆者。
356クラブのコンクール・デレガンスは、間違いなく日本で1番厳しい審査をおこなっていると思うと筆者。    笹本健次

このパーキングの急速充電器は40kWhのもので実際にセットすると361V/94-95Aが流れていたので、34kWh程度の充電量であった。

ということは30分でその半分の17kWh分が充電されることになる。

この時点で、オドメーター8318km/36%/140km残から、53%/219km残まで戻すことが出来た。

その後、集合場所の道の駅に行くと40kWhの急速充電器が1基備えられていた。

空いていて、しかも、昼食まで1時間半ほどここに留まるので30分の充電をおこなった。

この時のオドメーターの距離は8327km、充電後は74%、293km走行可能まで復活したので、本日の走行には充分と判断した。

午後はいよいよイベントがスタートし、御母衣湖沿いの国道156号線を北上するツーリングの後、白川郷の広い駐車中場でコンクール・デレガンスの審査をおこなった。

因みに356クラブのコンクール・デレガンスは、間違いなく日本で1番厳しい審査をおこなっていると思う。

伝統的にUSの356レジストリーや、ペブルビーチのレベルにあわせているからで、このような高い見識はぜひ日本の単一メイクスのクラブのイベントには欲しいものだ。

この日のメインイベントは、高山グリーンホテルで開催されるディナーパーティである。

2年に1回の356ホリディでは、大半のメンバーがおしゃれにブラックタイで参加していた。遊びも、このくらいの徹底が大切なのである。

旅程を通じてEV問題の核心に触れる

宿泊先の高山グリーンホテルに事前に充電器の状況を確認すると、常磐ホテルのJTBのケースとまったく同様で、3kWhの充電器が2基設置されているが、今年の2月以降、充電カードが使えなくなりお客さまがワレットの認証で苦労してる、とのことであった。

そこで、当社と同じような4桁の暗証番号の方法をお知らせし、それに変更したと連絡をもらって安心していたが、実際に行ってみると理解されておらず、その場で支配人がワレットの入力を始めた。

コンクールで優勝した最初期1951年のスプリット・ウインドウの356と並んで写真撮影。
コンクールで優勝した最初期1951年のスプリット・ウインドウの356と並んで写真撮影。    笹本健次

しかし、なかなかアクセスできず、わたしは一旦部屋に引き上げ、アクセスが完了したのはパーティの前の年次総会の始まる直前であった。

この2日間で期せずして、今のEV問題の核心に触れた感がしたのである。

翌朝、充電量を確認すると8時29分の時点で、57%/224km走行残から、14時間26分の充電で、98%/389km残まで復活した。

この時のオドメーターは8412kmを指していた。

3kWの充電器ではこんなものだと思うが、夜のうちに帰りのための充電が完了しているのは安心である。

ホテルの駐車場ではコンクールで優勝した最初期1951年のスプリット・ウインドウの356と並んで写真撮影をした。

並べてみてあらためて驚くのはそのサイズの違いである。

なんと356が可愛くチャーミングに見えることかと大いに感動した。

そして、タイカンも356から続く伝統の仕上げの良さを見せてくれていることにも感動したのである。

この後、古川祭りと古い街並みで名高い飛騨古川まで、豪快に山峡のワインディングを駆け抜け、古川市の好意で市内中心部の祭り広場に356群をとめ、高山とは一味違う飛騨古川の白壁土蔵街を散策した。

抹茶のお点前や飛騨牛のお弁当などを楽しみ、13時には解散となった。

古川からの帰路は、やはり安房峠を抜け松本を経由して中央道に入り、甲府に到着したのは17時ちょうどであった。

この時のオドメーターの距離は8636km、バッテリー残量は51%、走行可能距離217kmであった。

トータルの走行距離は576kmで、この間に急速充電2回、3kWhの普通充電が1回であり、合計の推定充電量は79.18kWhとなった。

したがって7.27km/kWhとなり、普段よりかなり良好な燃費となったのである。

この旅では、やはり充電インフラの充実が急務であると実感した。クルマ自体は絶好調であるのに、と思う。

実は、更なる問題を次の旅行で体験したのだが、それは次回に。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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