新型プジョー408 欧州発売 ニッチなおしゃれクロスオーバー、約520万円から

公開 : 2022.11.09 06:45  更新 : 2023.06.20 17:30

新たな顧客層を取り込めるか

プジョーは、車格を508に近づけつつ、価格的には308と3008の中間に位置づけ、新しい顧客層の取り込みを目指している。408のプロダクト・マネージャーであるオーレリー・ブレッソンは、次のように述べている。

「小型ハッチバックのオーナーは、今よりも広い室内空間に同等のドライビング・エクスペリエンスを求めているかもしれません。また、コンパクトSUVのオーナーは、もっと個性的でダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを求めていて、大型セダンのオーナーは、長い車体にモダンなボディラインを求めているかものしれません」

プジョー408
プジョー408    プジョー

「機能性だけを求めてクルマを買うのではない、というのが彼らの共通点です」

プジョーは408を、「クロスオーバー」ではなく、「セダンの派生モデル」と位置づけている。そのため、車名もクロスオーバー向けの数字4桁(2008、3008など)ではなく、従来の3桁が採用された。

このような開発経緯がありながら、現在の508を共食いするような存在ではないというのがプジョーの主張だ。同社のマーケティング責任者、フィル・ヨークはAUTOCARに対し、こう語っている。

「508は、プジョーブランドの象徴であり、ハイエンドモデルです。市場で個性的なモデルとなっている508 PSE(パフォーマンス重視のPHEV)と、特定の顧客ニーズを満たす508 SW(ステーションワゴン)があります。508がブランドにもたらしてくれるものに、とても満足しています」

デザイナーのこだわり

AUTOCAR英国編集部は、新型プジョー408のデザインを担当したピエール=ポール・マッテイにインタビューを行った。

――408の開発が始まってから7年が経っているとのこと。時代遅れにならないか、心配ではありませんでしたか?

「このようなクルマをデザインする人はいないだろう、というのがわたし達の希望でした。プジョーにとっては大きなチャンスなのです。『我々がこの隙間を見ているなら、他のブランドも見ているかもしれない』と考えていました。そうならなくてよかったです」

――新型308と408は、同時進行で作られました。なぜでしょうか?

プジョー408のデザインを担当したピエール=ポール・マッテイ
プジョー408のデザインを担当したピエール=ポール・マッテイ

「このようにアプローチすることで、308と408で共有できる部品(特にフロントライトやリアライトなど)が明らかになりました。フロントガラスの位置も308とまったく同じです。インテリアは408用にデザインしたものですが、308にも採用しました。これは、両モデルが同じセグメントであるからこそ可能なことです」

――デザインで一番苦労したことは何ですか?

「この特異なプロポーションにダイナミズムとエレガンスを与えることですね。古典的なセダンスタイルでは、それがうまくいかないことは分かっていました。あるデザイナーは、車体後部のシルエットを508にして試してみたのですが、すぐにそのことに気づいたのです。わたし達は新しいデザイン言語を発明しなければなりませんでした。室内の広さを維持しつつ、ダイナミズムを与えるのです」

――リアバンパーは他のプジョーとは異なります。なぜでしょう?

「このリアバンパーは必要でした。クルマが細く見えるのです。実際にはかなりワイドなんですよ。また、このバンパーでボディカラーをカットすることで、ダイナミズムが生まれます。わたし達が目指したのはディスラプティブ(予期せぬ方法で革新をもたらすこと)であり、このバンパーでそれを実現できていると思います」

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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