次期ポルシェ・ボクスター 電動化されたプロトタイプ発見 3年以内に発売か

公開 : 2022.11.09 20:25

ポルシェ・ボクスターの次期型と思われるプロトタイプが目撃されました。718ケイマン/ボクスターは、フルモデルチェンジで電動化され完全EVとなる予定です。

人気スポーツカーがEVに

ポルシェ718ボクスターの後継モデルと思われるプロトタイプが初めて目撃された。

次世代のポルシェ718ケイマンおよびボクスターには、ミドエンジン車の特徴を模して設計された電動スポーツカー用プラットフォームが採用される見込みだ。

ポルシェ・ボクスターの次期型と思われるプロトタイプ
ポルシェ・ボクスターの次期型と思われるプロトタイプ    AUTOCAR

ポルシェは、次世代718を電動ドライブトレインのみの設定とし、2020年代半ばまでに発売する意向であることが確認されている。既存のタイカンや、2024年デビュー予定のマカンEVの登場に続く、第3の電動モデルラインとなる可能性が高い。

今回撮影された車両は、第5世代となる「983」型ボクスターのプロトタイプと思われる。撮影者によると、エグゾーストパイプはフェイクであるという。ヘッドライトとリアライトバーのデザインは、タイカンと共有されるようだ。

この他、現行モデルとの明確な違いはまだ明らかではない。ポルシェが先に発表したミッションRコンセプトのデザインと、ライトなどのディテールは似ているが、サイドプロファイルは現行ボクスターにかなり近いものである。

2~3年以内の発売が予想されることから、この時期にプロトタイプが公道でテスト走行を行うというのは妥当なところだろう。ポルシェはこの写真について公式コメントを避けた。

ミドエンジンの挙動を再現

ポルシェは、2025年に世界販売台数の50%、2030年には80%をEVとする計画だが、スポーツカーの911やSUVのカイエンに相当するEVモデルの発売時期はまだ確定していない。

新たに導入される電動スポーツカー用プロトタイプでは、「eコア(e-core)」と呼ばれる斬新なバッテリーレウアウトを採用。低い着座位置と低重心を実現するという。

ポルシェ・ボクスターの次期型と思われるプロトタイプ
ポルシェ・ボクスターの次期型と思われるプロトタイプ    AUTOCAR

ポルシェはミッションRコンセプトのデザインについて、同社のデザインスタジオで並行して行われている次世代EVを反映したものであると認めている。一部のデザイン要素は、いずれ市販モデルにも反映されるようだ。なお、サイズは現行のケイマンやボクスターに近いものになっている。

シャシーは、718ケイマンのものをベースとしている。昨年のミッションRの発表会で、市販化の可能性について問われたポルシェのオリバー・ブルーメCEOは、次のように答えた。

「モデルを電動化する際、内燃機関(プラットフォーム)のキャリーオーバーは行いません。なぜなら妥協点が多すぎるからです」

「将来のスポーツカーを見据えた場合、独自のプラットフォームを開発しますが、一部のモジュールは他のモデルと共有します。しかし、プラットフォームは独自のものになるでしょう」

ミッションRはミドエンジン・スポーツカーのデザインを模倣しており、最も重い部品であるバッテリーをドライバーの後ろ、通常はエンジンがあるリアアクスルの前に配置している。

ポルシェの技術責任者であるミヒャエル・シュタイナーは、このような特異なレイアウトを採用した理由として、空気抵抗を減らすために車高をできるだけ低くする必要があったと述べているが、この方法では、バッテリーを床下に設置する従来の「スケートボード型」を採用することができない。

床下にバッテリーを置く方法は、ポルシェとアウディが共有するJ1アーキテクチャーだけでなく、既存のタイカンや今後発売されるPPEプラットフォームにも採用されている。

シュタイナーは次のように語っている。

「一般的な2ドアのスポーツカーでは車高が非常に低くなっていますが、これはシルエットをできるだけ低くフラットにすることで、空気抵抗を減らすためです」

「そのため、ドライバーをできるだけ低い位置に座らせる必要がありますが、そうするとシートの下にはバッテリーを搭載するスペースがありません。今日、多くのスポーツカーがミドエンジンを採用している理由と同じです」

「現在の技術では、バッテリーがクルマの中で最も大きくて重い部品となっています。そこで、わたし達は『eコア』というバッテリーデザインを開発しました。パッケージング的にも重心的にも、ミドエンジンの設計をほぼそのまま再現しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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