ロールス・ロイスに迫る洗練性 BMW i7 xドライブ60へ試乗 新7シリーズにBEV登場 後編
公開 : 2022.11.19 08:26
自らステアリングホイールを握りたい
i7が秘めた543psの最高出力を解き放てば、0-100km/h加速を4.7秒でこなす。現代のBEVでは際立つダッシュ力ではないかもしれないが、パワーが高まっていく過程は感動的なほど印象がいい。
静かで安楽に速度を高めるだけでなく、i7全体の動的特性とも見事に調和していた。運転が極めて心地良く感じられ、自らステアリングホイールを握りたいとオーナーに強く思わせるはず。
センターコンソールのシフトセレクターでBモードを選択すると、アクセルペダルの加減だけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブも可能。扱いやすいだけでなく、エネルギー効率の面でも有効だ。
今回のデンマークでの試乗では、445kmの航続距離が表示されていた。雨で気温が低い状態で。
静寂に包まれたキャビンの雰囲気をわずかに濁していたのが、ドアミラーやピラーまわりで生じる風切り音。今後の小改良でカメラを用いたデジタルミラーが採用され、ピラーの形状が詰められれば、さらに上質さを高めることもできるだろう。
もう1つ惜しいのが、驚くほどの英国価格。今回の試乗車にはふんだんにオプションが盛り込まれ、約13万8000ポンド(約2290万円)へ跳ね上がっていた。
超洗練のBEVラグジュアリー・サルーン
7代目へ進化した7シリーズに加わった、超洗練のBEVラグジュアリー・サルーンとなるi7。価格やサイズは、選択できる人を限定することは確かだ。挑戦的なスタイリングも、英国では好き嫌いがわかれそうではある。
とはいえ、i7はBMWのフラッグシップ・サルーンとしてふわさしい、特別な完成度に到達している。7シリーズ全体へ及ぼす影響も、決して小さくないはずだ。
○:感動的なほどの洗練性と高品質なインテリア。乗り心地もクラス最高水準にある。
△:好みが分かれそうなスタイリングと高めの価格。
BMW i7 xドライブ60(北米仕様)のスペック
英国価格:10万8305ポンド(約1797万円)
全長:5391mm
全幅:1950mm
全高:1544mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:4.7秒
航続距離:590-624km
電費:5.1-5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2715kg
パワートレイン:ツイン励磁同期モーター
バッテリー:101.7kWh(実容量)
急速充電能力:195kW
最高出力:543ps
最大トルク:75.9kg-m
ギアボックス:−