【詳細データテスト】レンジローバー・スポーツ 圧倒的な静粛性 十分以上のパワー しなやかな走り味

公開 : 2022.11.12 20:25  更新 : 2022.12.02 04:42

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

新型レンジローバー・スポーツは、フルサイズのレンジローバーに続き、MLA−フレックスと銘打たれたプラットフォームを採用。この2台は、共にソリハルの工場で生産される。つまり、ディスカバリーの兄弟分だった初代とは異なり、フラッグシップとの関連性を強めたモデルである。

従来はほぼアルミのみだったシャシーは、新型でアルミとスティールの混成となった。これは、静粛性の質を上げるためだ。ジャガーランドローバー(JLR)によれば、ねじり剛性もかなり向上しているという。その代わり、軽量化についてはあまり言及されていない。テスト車の実測重量は2511kgで、オプションを除いたカタログ値より200kg近く重い。さらに言えば、2013年に計測した先代からは150kgほど増加している。

シャークフィンアンテナがふたつもついているのは、引き算のデザインに反するのではないか、とも思わされるが、おそらくは機能面の理由があるのだろう。
シャークフィンアンテナがふたつもついているのは、引き算のデザインに反するのではないか、とも思わされるが、おそらくは機能面の理由があるのだろう。    MAX EDLESTON

英国仕様のエンジンは、3.0L直6ターボディーゼルのインジニウムユニットをベースにしたマイルドハイブリッドがD300とD350の2機種。ガソリンは、マイルドハイブリッドが400psのP400と530psのP530で、後者はBMWに由来する4.4LのV8ツインターボ。PHEVもガソリンベースで、P440eとP510eの2機種が設定される。

PHEVはどちらも、JLRのインジニウム6気筒に、143psの電気モーターと38.2kWhの駆動用バッテリーを組み合わせる。EV航続距離は、最高で113kmに及ぶ。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアは新設計のマルチリンクで、今後追加される完全電動モデルのモーター搭載に備えた。新開発の車高調整式マルチチャンバーエアサスペンションは、最低地上高を281mmまで引き上げられる。先代の278mmにはわずかながら差をつけているが、PHEV仕様では低くなってしまう。駆動系はオープンデフと8速ATが標準仕様で、ローレンジはオプション設定だ。

さらに新型には、アクティブスタビライザーのダイナミックレスポンス・プロやアクティブ4WS、機械式アクティブトルクベクタリングデフが用意され、これらはテスト車に装備された5330ポンド(約90万円)のストーマーハンドリングパッケージに含まれる。

スタイリングは、デザイン部門のトップ、ゲーリー・マクガバーンが唱える引き算のデザイン哲学に沿ったものだ。最初にそれが用いられたのは、2017年のヴェラールだ。もっとも特徴的なのは、これまでのモデルより小さくスッキリしていること。ボディ表面のほとんどの部分は、よりクリーンになった。

あるテスターは、新型のルックスが小綺麗になりすぎで、レンジローバーを名乗るならばもっとタフで機能性を感じさせるものであってほしいと言った。そうは言っても、ハンサムなクルマであるのは間違いない。

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