【詳細データテスト】レンジローバー・スポーツ 圧倒的な静粛性 十分以上のパワー しなやかな走り味
公開 : 2022.11.12 20:25 更新 : 2022.12.02 04:42
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
ランドローバーは、レンジローバー・スポーツのどこでもいけるタフさと日常使いできる快適性、オンロードドライブを楽しめる運動性の完璧なバランスを完成させてから20年近くが経つ。新型では、そこに新たな技術要素をいくつか足し、そのバランスを一流の仕事ぶりで磨き上げ、きわめて高いレベルに引き上げた。
オートモードで走らせると、このクルマはなんでもできそうな気がしてくる。緩慢さやレンジローバーらしいサイズがあり、過剰にダイレクトなステアリングや硬すぎるサスペンションをごまかそうとしていない。四輪操舵やアクティブスタビライザー、アクティブデフへ過剰に依存していることもだ。
狭い横道やタイトなラウンドアバウトを走らせると、そこに驚きは感じられない。その巨体がちょっとばかり目立つが、思いのままに走らせられる。ただし、問題がまったくないわけではない。狭いエリアでの四輪操舵がもたらす取り回しの違いはかなりのものだ。
市街地を出ると、車体の重さをコントロールし、レスポンスの正確さを鋭くし、ドライバーズカーらしさをみせる能力が前面に出て、もっと殺風景な走りに甘んじている多くの高級SUVの上を行く。
ステアリングの手応えやペース、フィール、しなやかだが驚くほど張りつめていて上質なダンピングの念入りなチューニングは、このクルマの見せ所だ。運転するのに多くを求めないクルマであることはそのままだが、無感覚ではなく、コミュニケーションも多少は感じられる。
レンジスポーツは長らく、本気でありながら分別を持って8割ぐらいのペースで走らせるときわめて満足できるクルマだった。新型は、カントリーロードでの走りを芸術の域に引き上げている。
その重量とケンカするのではなく、穏やかに盛り上がった路面をなぞり、重さをしっかり抑えているが、あとどれくらい落ち着いて走れるか余力を推し測るのも容易だ。
よりハードにプッシュすると、走りの洗練度合いは多少損なわれるかもしれないが、電子制御スタビリティコントロールが、JLRの高い水準からするとおかしなくらい発展途上なせいだと思われる。
しかし全般的には、まさしくそうあってほしいとおりのイージーゴーイングな走りを楽しめる。