歴代最高のホットハッチ プジョー205 GTi 英国版中古車ガイド 溢れ出る運転の魅力

公開 : 2022.11.25 08:25

歴代最高のプジョーとして英国編集部が挙げる、205 GTi。魅力に満ちたホットハッチとの付き合い方をご紹介します。

運転の魅力に溢れていた205 GTi

オリジナルのミニ・クーパーを凌駕する魅力を湛えていたのが、プジョー205 GTiだ。実用的で小柄なボディに活気溢れるエンジンを搭載し、お手頃な価格で提供され、素晴らしいホットハッチの定石といえる内容だった。

フォルクスワーゲンは、1976年にゴルフ GTIでこのレシピを完成させていた。ホットハッチ時代の幕開けを告げるように。タイトなコーナーをまくし立てるように走る姿へ、夢中になったという読者もいらっしゃるだろう。

プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)

そんな古くからの自動車ファンへ、もう1台別のノスタルジックなホットハッチを挙げもらうとしたら、プジョー205 GTiが最も多いのではないだろうか。筆者もそうだ。

小さな205 GTiは、本当に機敏に走った。登場から40年近くが経つが、今でもワインディングの下り坂を本気で飛ばせば、追走するのが簡単ではないほど。

シャープでありながら丸みを帯びたスタイリングは、近年のゴルフ GTIよりファッショナブルだったし、チャーミングでもあった。鋭い操縦性で運転の魅力にも溢れていた。登場からほどなく、ホットハッチとして一目置かれる存在になった。

パワーステアリングは備わらず、セフルセンタリング性に不満を唱える人もいた。ステアリング・レシオは3.8回転で、もう少しクイックでも良かっただろう。小さな批判がゼロではなかったが、それを上回る楽しさが宿っていた。

意図的なリフトオフ・オーバーステア

プジョー205 GTiの登場は1984年。オールアルミ製の4気筒エンジンは1.6Lの自然吸気で、最高出力は104psしかなかった。2022年では非力に思える馬力ながら、車重は850kgと軽量で不足ない動力性能を発揮した。

だが、それ以上に称賛を集めたのが鋭い操縦性。限界領域でのサスペンションの挙動や、やや弾むような乗り心地に不満を漏らすドライバーもいた。それでも、語り継がれるような名車といえた。

プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)

2年後の1986年には、GTi 1.6の最高出力が114psへ上昇。さらに、GTi 1.9も追加されている。こちらにはその名の通り1.9Lエンジンが搭載され、129psを発揮。トルクフルで0-97km/h加速を7.8秒でこなし、最高速度は204km/hがうたわれた。

エンジンを問わず、205 GTi最大のストロングポイントは、絶妙なチューニングが施されたシャシーによるバランスに優れたコーナリングだ。ただし、注意も必要だった。

敏捷さと味わい深さを求めて、意図的にリフトオフ・オーバーステアの特性が与えられていた。コーナーの途中で急にアクセルペダルを緩めると、フロントノーズが勢い良く内側に絞られていくのでご注意を。

205 GTiのファンの間では1.6Lと1.9Lでどちらがより楽しいか、意見がわかれていた。1.6Lのピーキーなパワー感が好きだという人もいれば、1.9Lの太いトルク感を支持する人もいる。

今選ぶなら、どちらでも構わないと筆者は思う。近年はすっかりタマ数が減ったが、プジョー205 GTiが同社最高のホットハッチだという事実に、変わることはないのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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