歴代最高のホットハッチ プジョー205 GTi 英国版中古車ガイド 溢れ出る運転の魅力

公開 : 2022.11.25 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

小さなプジョーは、このクラスのホットハッチとして新しい水準を打ち立てた。適度に張りのある乗り心地はそのままに、優れた動力性能と操縦性が組み合わされている。

車内空間はゴルフ GTIやアストラ GTEと比べて若干狭いものの、ひと回り小さいだけに機敏に走る。運転の楽しさを求めたハッチバックとして、車内空間のゆとりなど大きな問題にはならないはず。205 GTiは、大傑作といっていい。(1984年4月18日)

プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

エグゾースト・マニフォールドに亀裂が入る場合がある。アイドリングが安定しないなら、エアフローメーターの不具合が疑われる。ビッグエンド・ベアリングからの異音や、ガスケットの状態も確かめたいところ。

カラカラと乾いた音は、タイミングベルト・テンショナーの寿命が原因かもしれない。ベルトとウォーターポンプの交換は、4年毎が指定されている。1.9Lエンジンが始動時に安定しにくいのは、いつものことだ。

プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)
プジョー205 GTi(1984〜1998年/英国仕様)

エンジンマウントが劣化すると、振動だけでなくドライブシャフトの不具合も招く。

油圧

エンジンオイル不足から深刻な問題を引き起こすため、油圧計の針の動きには目を配りたい。社外品のオイルフィルターや、古いガスケットでエンジンオイルの流れが滞っている場合もある。内部構造の劣化で、潤滑不良になることも。

オイルサンプの後ろ側から、エンジンオイルが漏れていないか確認する。始動時に排気ガスと一緒に白煙が出るなら、バルブステムシールの磨耗が原因かもしれない。

トランスミッション

1速と2速のシンクロメッシュは傷みやすい。3速までヘタっている場合は、かなり攻め込んで運転されてきた証拠だろう。

樹脂製のリンケージ部品は劣化しやすく、シフトフィールに影響が出る。冷えた状態では変速フィールが硬くなる。クイックシフターを組むことも可能。

クラッチケーブルは、劣化し固着気味になることも。クラッチペダルが重くなり、扱いにくくなる。

サスペンションとブレーキ

リア・サスペンションのビームは、シールの不具合でベアリングが駄目になることがある。ドロップリンクは、ウイッシュボーン・リンクと同様にヘタりやすい。アッパーマウント側のベアリングが古くなると、サスペンションから異音が出ることも。

205 GTiではリアのブレーキディスクが腐食しやすい。ディスク面の状態が悪いなら、キャリパーも一緒に交換したいところ。交換用部品は今でも比較的安価に購入でき、作業も難しくはない。

ボディ

ドアの下側やサイドシル、ヘッドライト周辺、荷室のフロアが錆びやすい。事前によく観察したい。

サンルーフが装備されている場合は、水密性を保つシール部分の状態を確かめる。シール内に空気が入ると破損し、雨漏りしてしまう。レバーを解除して、スムーズにサンルーフが開閉できるかも確認する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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