現実的に楽しめる旧車 MGBロードスター 英国版クラシック・ガイド 目立つ弱点なし 前編

公開 : 2022.11.27 07:05

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「2016年に公務員を引退し、何か手掛けるクルマを探していました」。と話すのは、アイボリーのMGBを持ち込んでくれたアンディ・クロウリー氏だ。

「これまでクルマのレストアは経験がなかったので、新しい技術を学べ、多くの人と関係を築けるだろうと考えました。妻はまだ働いていたので、何もせずに家にこもっているのも嫌でしたし」

MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)
MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)

メルセデス・ベンツSLKやポルシェボクスターも良いなと思いましたが、現代的なモデルは複雑でもあります。2017年にこのMGBを購入し、4年を掛けてレストアしました」

「既にエンジンは降ろされた状態で、サイドシルは新品に交換されていました。フロアとインナーフェンダーには問題が残っていましたが、ボディ全体としては小さなサビの修理程度で済んでいます」

「自分でボディの錆びた部分を切り取り、修理用のパネルを制作して、溶接は友人にお願いしました。最後まで溶接技術は身につきませんでしたが、セルロース塗料での塗装は、わたしが自宅のガレージで済ませていますよ」

「レストアは楽しかったですし、仕上がったMGBでのドライブは本当に素晴らしい。多くの通行人が微笑んでくれることも、喜びの1つですね」

英国で掘り出し物を発見

MGBロードスター(英国仕様)

登録:1978年 走行:13万4900km 価格:7950ポンド(約132万円)

近年値下げされ、価格価値としては妥当に思える。走行距離はMGBでは短めだが、改ざんはされていないようだ。

MGBロードスター(1975年/英国仕様)
MGBロードスター(1975年/英国仕様)

インカ・イエローのボディに、ミニライト風アルミホイールが良く似合っている。ボンネットなど、塗装の状態も良好。トノカバーも付いている。黒く塗られたサイドシルは、好みが分かれそうではある。

ダッシュボードはトップパッドが新品に交換済みで、エンジンルームは初期の表面的なサビが見られる程度。売り手によれば、エンジン自体の調子はバッチリだという。

MGBロードスター(英国仕様)

登録:1975年 走行:13万400km 価格:1万7450ポンド(約289万円)

スチールバンパー最後の30台の1つ。1990年代半ばに徹底的なレストアを受けており、コニ社のダンパーやブルーのレザー内装、クロームメッキのワイヤーホイールなどが与えられている。

ステアリングホイールはモトリタ。ウインドディフレクターも装備する。エンジンは約1万6000km前にリビルド済みで、その際にステンレス製のエグゾーストに交換された。

オリジナルに拘る人向けではないが、見た目はとても良い。売り手は運転が楽しいと説明している。沢山の愛情とお金が注ぎ込まれたMGBといえそうだ。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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