現実的に楽しめる旧車 MGBロードスター 英国版クラシック・ガイド 目立つ弱点なし 後編
公開 : 2022.11.27 07:06
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
最も気をつけたいのが、サイドシルのサビ。外側だけでなく内側も確かめたい。排水ドレインにワイヤーを刺すことで、内部の状態が確かめられる。
フロントとリアのフェンダー、Aピラー、バルクヘッドまわり、リアのシャシーレッグ、荷室のフロア、ドアの底面、燃料タンクなども錆びやすいポイント。インナーフェンダーは泥が溜まってサビやすいため、保護するアーチライナーの追加は賢明な判断だ。
再塗装されている場合は、パネルのフィッティングや塗装の仕上がりを観察する。
エンジン
Bシリーズと呼ばれるMGBの1.8L直列4気筒エンジンはシンプル。オイル漏れや過度なブローバイ、振動や異音、油圧の低下などが内部摩耗の症状。油圧は高回転域で50-60psi、温まった状態のアイドリング時で15psi以上が正常。
不自然な振動や異音、オイル漏れがないか確かめる。英国では、エンジンのリビルドに2000ポンド(約33万円)以上は必要。ラジエター内部のサビも確認したい。ちなみに、今回の撮影車両はオーナーがリビルドしておりオリジナルとは状態が異なる。
トランスミッション
1967年以降のオールシンクロ・トランスミッションは基本的に堅牢。オーバードライブ付きなら最高だ。それでも、シンクロの摩耗状態は確かめたい。
リビルドには、英国では400ポンド(約7万円)以上は掛かる。オーバードライブ付きのリビルド済みユニットは、1300ポンド(約21万円)程度で手に入る。
サスペンションとブレーキ
サスペンションは、ヘタリ具合を確かめる。ウイッシュボーン付きのレバーアーム式ダンパーは従来的な仕様だったが、メンテナンスしていれば充分に機能する。ブッシュ類の状態も確認ポイント。
ブレーキキャリパーは固着しがち。
インテリアと電装系
シートのヘタリやダッシュボードの状態を確かめる。メーター類が正常に動くかも、試乗時にチェックしたい。
MGBロードスターのまとめ
多くの部品が入手可能だが、新品未塗装のボディシェルは英国でも1万3000ポンド(約215万円)以上する。そのボディシェルも古いものはオリジナルと同様に錆びやすく、交換から時間が経過している場合は安心できない。
1990年代初頭からは、交換用ボディシェルが亜鉛メッキされるようになった。理想的なレストアを施すと、車両の価値よりもコストが多く掛かることが通例。購入するなら、ベスト・コンディションのMGBを選びたいところ。
英国市場には、数多くのMGBが流通している。状態の良いラバーバンパー・モデルは、価格価値に優れる選択といえる。
良いトコロ
実用性にも長けた、万能スポーツカー。英国には専門ガレージが少なくなく、サプライヤーが交換部品を提供してくれている。状態の良い中古車も少なくない。
良くないトコロ
サビが進行することで、維持やレストアを難しくする。ひどい状態からレストアすると、最終的にはクルマの価値以上の出費が必要になる。オリジナルの状態を保っているMGBは少ない。
MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)のスペック
英国価格:1153ポンド(1970年時)
生産台数:約38万6789台
全長:3893-4020mm
全幅:1575mm
全高:1251-1295mm
最高速度:168-173km/h
0-97km/h加速:11.0〜12.6秒
燃費:6.9-13.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:942-1065kg
パワートレイン:直列4気筒1798cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:96ps/5400rpm-136ps/5500rpm
最大トルク:14.5kg-m/2500rpm-15.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック