600mmプラスの8シーター ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 妥協なしの走り
公開 : 2022.11.16 08:25
操縦性や走破性に目立ったトレードオフなし
今回筆者がディフェンダー 130を試乗したルートは、グレートブリテン島の南西部に位置するヘレフォードシャー州のランドローバー・エクスペリエンス・センター周辺。郊外の一般道だけでなく、オフロードコースも試すことができた。
エンジンは、マイルド・ハイブリッド・ディーゼルのインジニウム・ユニットとなるD300。トリムグレードは、ハイエンドのXダイナミックHSEだった。
まずはオフロードでの走行となったが、130は1サイズ短い110と同等に走破していく。車重は増えているもののホイールベースが同じなため、操縦性や走破性に目立ったトレードオフは存在しない印象を受けた。
幅の狭い林道などで、ボディの幅を実感することは従来どおり。それでも運転席からの視界は優れており、四角いフォルムのおかげで車幅感覚は掴みやすい。
最低地上高を増すエアサスのほか、ローレンジ・トランスファーギアとピレリのオフロード用タイヤが標準で備わる。トラクションとスタビリティ、ヒルディセントという電子制御の各コントロール系が巧みに機能し、未踏の大地へ果敢に立ち向かえる。
深いわだちや急斜面だけでなく、大きな水たまりも物ともしない。ドライバーはステアリングホイールを握り、アクセルペダルを丁寧に傾ければ大丈夫。悩まされることなく、ディフェンダーが処理してくれる。
操縦性や運転のしやすさに明確な妥協もなし
とはいえ、深い穴や急斜面の通過時には、110以上に気を使う必要はある。リアのオーバーハングが伸びているためだ。
ランドローバーの技術者は、1番短いディフェンダー 90なら克服できても、130では難しいであろう条件があると考えている。同時に、110が走る後ろを130は概ね着いていけるだろう、とも考えている。違いが出るのは、余程過酷なルートに限られるようだ。
アスファルトへ場所を移すと、ランドローバーが入念にチューニングしたエアサスが、130の増えた車重を見事に受け止めることへ感心する。さらに3.0Lディーゼルターボは、上質な回転フィールと豊かなトルクで不足なく快適な走りを叶えてくれる。
今回は大人8名の満員状態を試すことができなかったが、流石にその条件では、運ぶべき重量の大きさを実感するだろう。だが、少なくとも大人数名で乗っている限り、110と比較して操縦性や運転のしやすさに明確な妥協は感じられなかった。
最新のディフェンダーは、ラグジュアリーでありながらオフローダーでもあるという、幅の広い能力を備えた大型モデルだ。スポーティな上級SUVとは一線を隠している。
それでも、ドライブフィールは締りがあり直感的。ステアリングホイールの反応も正確といえるが、その特徴は130でも薄れていない。