世界に誇るべき英国車 ミニ3ドア・クーパー  ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ 英編集部選の5台 後編

公開 : 2022.11.26 09:47

変化の激しい時代でも、英国は魅力的なモデルを数多く生産しています。英編集部が選ぶそのトップ5をご紹介します。

ミニ3ドア・クーパー

ロールス・ロイスも、英国にとって重要な自動車メーカーではある。だが、ミニより大きな成功を掴んだ英国車は存在するだろうか。

オリジナルは1959年の発売から約40年間も生産が続けられた。横置きのフロントエンジンに前輪駆動、小さなハッチバックボディという、現代の小型車のパッケージングを定義した存在といえた。

シルバーのモーガン・スーパー3と、ブラックのミニ3ドア・クーパー
シルバーのモーガン・スーパー3と、ブラックのミニ3ドア・クーパー

それは、BMW傘下になった後進も採用。このまま内燃エンジンが終りを迎えるまで、継続して用いられることになりそうだ。世界を変えたクルマといってもいい。大ヒットを掴んだ結果、モデル名は独立したブランド名にもなった。

現行のモデルはオリジナルから大きく成長したが、精神的には多くの点で忠実なままだと思う。サイズが拡大し、価格が高くなった理由は、安全性と洗練性を求めた結果。とりまく自動車全体も大型化している。

英国オックスフォードの工場は、BEVを効率的に生産することが難しく、ミニ・エレクトリックはしばらく中国の工場で作られることになる。だがBMWは、ミニの生産拠点はオックスフォード工場であり続けると、明言している。

ミニは最小セグメントに属しているわけではないが、3ドアのクーパーはミニとしては最小。ブランドの入口に位置するモデルであり、ブランドを象徴するモデルでもある。

エンジンのパワーを振り絞って走るミニ

現行のフロントマスクは少しとぼけた印象を受けるかもしれないが、3ドアのクーパーは伝統的な2ボックスのハッチバック・フォルムを維持している。エンジンをボンネット内に横向きに載せ、前輪を駆動。機敏な操縦性で小さなボディが快活に走る。

1.5L 3気筒ターボが発揮する最高出力は136psと控えめでも、マニュアルと組み合わせれば楽しさはひとしお。もし本気のホットハッチがお望みなら、パワフルなクーパーSというチョイスもある。

ミニ3ドア・クーパー(英国仕様)
ミニ3ドア・クーパー(英国仕様)

だが、英国編集部が推すスイートスポットのミニは、この3ドアのクーパー。アクセルペダルを思い切り踏み込んで、エンジンのパワーを振り絞りながら、オリジナルのように小気味よく運転できる。

英国価格は2万2565ポンド(約374万円)から。小型車としては高額ながら、ここまで魅力的なインテリアに包まれながら運転できるモデルは、他に例がない。ポップでクラシカルなスタイリングも、近年のモデルのなかで強い個性を放つ。

小さくて楽しい、比較的手頃な価格のクルマが今も英国で作られていることがうれしい。60年前と同様に。 Matt Prior(マット・プライヤー)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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