ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ

なぜ最新のレンジローバーやレンジローバー・スポーツではないのか、という疑問をお持ちの読者がいらっしゃるかもしれない。どちらも技術的な高みにあり、スタイリングも美しく、クラスのベンチマークに君臨している。

最高のSUVやオフローダー・メーカーとして、ランドローバーの地位を確かなものにしているモデルだ。だが一般人のわれわれにとって、少々豪華すぎることも事実。敢えて狙われた高いポジショニングではあるが、体験できるのは裕福な一部の人に限られる。

オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e、グレーの日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー
オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e、グレーの日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー

しかしディスカバリー・スポーツなら価格はずっと身近なものになる。落ち着いたインテリアとスタイリッシュなボディが与えられ、特にプラグイン・ハイブリッド(PHEV)のP300eなら、動力性能にも不満はない。

ランドローバーのエンジンといえば、かつては大排気量であることが一般的だった。しかし有能な技術者によって、最小限の大きさから最大限の効率を得られるように設計されている。実際、エンジンは1.5Lの3気筒ターボだ。

広々としたSUVの車内空間には、充実の装備が与えられている。それでも、0-100km/h加速は6.6秒と、ホットハッチに引けを取らないダッシュ力を披露する。

実用性や利便性ではトップクラス

シャシーは磨き込まれ、サスペンションはじっくり煮詰められている。困難なオフロードだけでなく、カーブが連続するアスファルトでも、運転する楽しさを味わわせてくれる。速度域の低い都市部の道を、驚くほど軽快に運転できる。

荷室は巨大で、ドライビングポジションは視点が高めのコマンド・スタイル。インフォテインメント・システムは直感的に操作でき扱いやすい。現在あまたあるファミリーSUVのなかでも、その実用性や利便性ではトップクラスにある。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツP300e(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツP300e(英国仕様)

P300eは時流に応えたPHEVでもあり、実用的な距離を駆動用モーターだけで走行可能。1.5Lエンジンとの調律も素晴らしい。

これらが融合し、適度なサイズ感のディスカバリー・スポーツは確実な支持を集めている。ランドローバーにとっての収益源なだけでなく、英国が誇る価値ある輸出モデルの1台であることは間違いない。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)

ディスカバリー・スポーツとミニ3ドアのスペック

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e(英国仕様)

英国価格:5万2230ポンド(約867万円)
全長:4597mm
全幅:1920mm
全高:1727mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:6.6秒
燃費:62.1km/L
CO2排出量:32g/km
車両重量:2093kg
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボチャージャー+ISG+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:309ps(システム総合)
最大トルク:54.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

ミニ3ドア・クーパー(英国仕様)

英国価格:2万2565ポンド(約374万円)
全長:4023mm
全幅:1727mm
全高:1425mm
最高速度:207km/h
0-100km/h加速:8.4秒
燃費:15.2-17.0km/L
CO2排出量:136-141g/km
車両重量:1280kg
パワートレイン:直列3気筒1499ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:135ps/4400-6000rpm
最大トルク:22.3kg-m/1250-4300rpm
ギアボックス:6速マニュアル

手前からシルバーのモーガン・スーパー3、ブラックのミニ3ドア・クーパー、グリーンのアストン マーティンDBS スーパーレッジェーラ、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e、グレーの日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー
手前からシルバーのモーガン・スーパー3、ブラックのミニ3ドア・クーパー、グリーンのアストン マーティンDBS スーパーレッジェーラ、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e、グレーの日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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