【詳細データテスト】モーガン・スーパー3 色濃い三輪の味わい 意外に魅力的なエンジン 雨は御用心
公開 : 2022.11.19 20:25 更新 : 2022.12.02 04:01
内装 ★★★★★★★★★★
モーガンは10年を要して、3ホイーラーより最適化したエルゴノミクスを慎重に作り上げ、スーパー3で披露した。
第一に、熱々のエキゾーストパイプをまたぐ必要がなくなった。また、シートの前にはステンレスのステップが備わり、座面を靴底についた泥で汚さずに済むようになった。そこに立ってから腰を下ろし、フットウェルへと脚を伸ばせば乗車完了だ。
これまでなら、工具を使って前もって調整しておかなければならなかったペダルも、スーパー3では調整が簡単に。ダッシュボード下のトグルを引いてロックを解除すれば、簡単に前後スライドできるのだ。
ステアリングホイールも、チルトとテレスコピックの調整機構が備わった。明らかにピッタリくるドライビングポジションが取れるようになった。
とはいえ、モーガン一の個性派が、フォルクスワーゲン・ポロのような扱いやすさを得たというわけではない。スーパー3をドライブするのは、やはり真剣に取り組むことが求められる行為だ。
雨が降ればずぶ濡れになる。その程度は、背の高さによっても変わる。長身だと、エアロスクリーンから完全に頭が突き出し、もろに顔が風雨にさらされる。普段はヘルメットを被らないドライバーなら、より高さのあるフライスクリーンを選ぶという手もある。もっとも、法制上ワイパーが必要になるほど高さのあるウインドスクリーンではない。
屋根なしのクルマとしては賢明な判断だが、キャビン内のあらゆるものに防水が効いている。メーターやスイッチ、USBポートに至るまで、IP64規格の防水・防塵仕様だ。シート表皮なども、吟味されている。標準仕様はブラックのビニールで、耐候性に優れたレザーがオプション設定される。
さらに興味深いのが、テクニカルファブリックだ。テスト車のそれはダークオリーブと呼ばれ、スポンジ的な変わったテクスチャー。水がかかると弾かずに吸い込んで、驚くほど早く乾く。同じ性質のコールブラックとシグナルオレンジも用意されるが、それらはより一般的な織物となっている。
そのメカニカルレイアウトゆえに、実用性はとくに高いわけではないが、3ホイーラーからは明らかに改善された部分の恩恵が得られる。助手席側のフットウェルはかなり深く、ひとり乗りなら荷物置き場としてあてにできるだけのスペースがある。
リアの収納スペースは、ラゲッジラックが装着されていなければアクセスしやすい。ロック機構がなく、奇妙な形状をしてはいるが、トノカバーと小さめのソフトバッグは十分に収まる。