上級スポーツサルーンの最有力 ジャガーXE 英国版中古車ガイド 甘美な操縦性が強み

公開 : 2022.11.29 08:25

洗練されたスポーツサルーン、ジャガーXE。BMW 3シリーズやアウディA4の競合の魅力を、英国編集部が再確認します。

適度なサイズのFRドライバーズサルーン

適度なサイズを持つFRのドライバーズサルーンが、比較的手頃な価格でジャガーから提供されたと聞けば、悪くない販売成績が得られそうに思える。ところが2015年の発売以来、ゆかりのある英国ですらBMW 3シリーズアウディA4以上には売れていない。

不思議な結果だ。見た目は美しく、プレミアム・ブランドのエンブレムがフロントノーズを飾り、装備も充実している。発表直後から、上級Dセグメントモデルに求めるであろう、多くの条件を満たしていたのだから。

ジャガーXE(2015年〜/英国仕様)
ジャガーXE(2015年〜/英国仕様)

そんな人気加減が影響して、初代オーナーが手放した後のジャガーXEは、われわれに身近な価格帯にある。今こそ、英国伝統ブランドが生み出したサルーンの狙い時といえる。

当初、英国でジャガーが提供していた主力エンジンは、200psか240ps、300psの最高出力が与えられた2.0L 4気筒ガソリンターボ。さらに、スーパーチャージャー付きの3.0L V6ガソリンも選べた。最高出力は初めが340psで、2017年からは380psへ上昇している。

2.0L 4気筒ディーゼルターボも用意され、やや活気に欠ける163psのほか、充分にトルクフルな180psと、四輪駆動が組み合わされた240psの3段階があった。後者は不足なく速いが、軽油もそれなりに燃やしてしまう。

甘美な操縦性が最大のストロングポイント

トリムグレードは、英国ではSEがエントリー。17インチのアルミホイールにデュアルゾーン・エアコン、オートライトとオートワイパー、クルーズコントロールが標準で装備された。ミドルとなるプレステージは、レザー内装にシートヒーターなどが追加される。

Rスポーツでは、キセノンヘッドライトにスポーティなボディキット、18インチ・アルミホイール、スポーツシートなどを獲得。洗練されたXEにふさわしいポートフォリオになると、高音質サウンドシステムに上級な電動シートなどが組まれる。

ジャガーXE(2015年〜/英国仕様)
ジャガーXE(2015年〜/英国仕様)

製造品質や車内空間をつぶさに比較すれば、競合モデルの方が多少有利かもしれない。しかし、甘美な操縦性こそ最大のストロングポイント。上級なスポーツサルーンをお探しなら、XEはその最有力といえる。

ステアリングホイールは滑らかに反応し、一貫性が高い。秀でた姿勢制御と相まって、抜群の精度とバランス感でコーナリングしていく。それでいて、乗り心地には適度なしなやかさも担保されている。

インテリアは、ドイツ水準には届いていなかったとしても、快適で豪華。ブラックのプラスティックやレザーは華やかさに欠けるとしても、オーダー次第ではツートーンにカラーコーディネートすることもできる。

操作スイッチ類には表面へゴム引きなどの加工が施され、タッチは上質。アナログメーターはシンプルで見やすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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