GクラスのEV版に試乗してみた メルセデス・ベンツEQG 走破性の高さに脱帽

公開 : 2022.11.23 06:05

オフロード性能はGクラス以上?

こうした新しいパワーユニットに電力を供給するバッテリーは、リアシート下のフロア内に搭載されている。メルセデス・ベンツによると、容量は「約100kWh」のリチウムイオンバッテリーで、そのセル技術はEQXXコンセプトで採用されたものと同じだという。新しいシリコンアノードを使用することで、新型EQE SUVやEQS SUVよりもエネルギー密度と効率を高め、同時に重量とサイズを軽減できるとされている。

航続距離について、シラーは開発の初期段階であるとして明確な回答を避けながらも、4モーターレイアウトにより、オンロードとオフロードの両方で大幅なエネルギー回生が可能であると述べている。

メルセデス・ベンツEQGのプロトタイプ(テストコースにて)
メルセデス・ベンツEQGのプロトタイプ(テストコースにて)

「オフロードでは、航続距離というより、走行時間が重要です。テストでは信じられないような数字が出ています」

バッテリーはオフロード走行に対応するため、スチール製の頑丈な密閉型ケースに収められる。硬い岩石の衝突や衝撃から保護するために、炭素繊維強化ポリマーの層も追加されている。

「外側の層は非常に弾力性のある素材でできており、常にバッテリーを保護するように設計されています」とシラーは言う。

バッテリーをフロア内に搭載することのメリットとして、重心がGクラスよりもかなり低くなることが挙げられる。しかし、その代償として重量の増加は避けられない。

Gクラスブランドの責任者であるシラーは、「どのEVでもそうですが、重量は課題です」としつつ、「まだ最終的な数字は出ていませんが、3500kgを下回るでしょう」と述べた。

足回りとしては、フロントにダブルウィッシュボーン式サスペンション、リアにトレーリングアーム式サスペンションを採用し、Gクラスと同様のリンケージポイントを用いている。

メルセデス・ベンツは、EQGの地上高やアプローチアングルなど、スペックについてはまだ多くを語らない構えだが、シラーはオフロード走行において、ディーゼルおよびガソリンエンジン搭載のGクラスに匹敵するだけでなく、特定の状況下では上回ることもあるとしている。

記事に関わった人々

  • グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事