マツダ、ロードスターは「別枠」 未来のスポーツカー「ビジョンスタディモデル」 EV戦略見直しへ

公開 : 2022.11.23 18:45  更新 : 2022.11.24 09:48

マツダは電動化戦略をアップデートし、新たな経営方針を発表しました。その中で、「楽しいクルマを作るマツダのコミットメント」として、次世代のロードスターを思わせる2ドア・クーペが公開されました。

次世代の電動ロードスターか

マツダは、11月22日に発表した中期経営計画のアップデートにおいて、次世代スポーツカーを思わせる「ビジョンスタディモデル」を公開した。

マツダはこのモデルの詳細を発表していないが、プロモーション映像(経営計画に関する説明動画の後半5分に登場)では現行のロードスターとともに紹介されている。電動化が進んだ未来における次世代ロードスターのデザインスタディの可能性がある。

マツダ・ビジョンスタディモデル
マツダ・ビジョンスタディモデル    マツダ

また、「商品/技術のビルディングブロック構造」として3種類のアーキテクチャ(EV専用群、LARGE群、SMALL群)が紹介され、電動化モデルへの投資を進めていることも確認された。ビジョンスタディモデルにはマフラーが見られないことからも、今のところEVであることは確かなようだ。

マツダの欧州商品開発・技術責任者のヨアヒム・クンツは今年4月、MX-5(ロードスターの海外仕様)が同社の主力モデルとは完全に「別物」として扱われることを示唆した。

「MX-5はわたし達のブランドの象徴であり、常に特別な扱いを受けています。今のところ、このサイズとコンセプト、そして内燃機関によって、このクルマは永遠に存在し続けるように思われます。もちろん、いつかは電動化しなければなりませんが、この純粋なコンセプトは保ちたいのです」

MX-5は他のマツダ車よりも製品ライフサイクルが長く、「1世代で10年続くことは問題ではない」とクンツは説明する。つまり、現行ND世代の後継となる次期型は、2024年まで姿を現さないかもしれない。

同社の広報担当者はAUTOCARに対し、今回公開されたクーペは「ビジョンスタディ」であり、2015年に公開された「RXビジョン」コンセプトと同様、楽しいクルマを作るというマツダのコミットメントを示すためのものであると述べている。

電動化戦略をアップデート

ビジョンスタディモデルは、マツダの中期経営計画のアップデートと2030年の経営方針に関する発表の一環として披露された。

今後の主な取り組みとして、「カーボンニュートラルに向けた取り組み」、「電動化戦略」、「人とITの共創によるマツダ独自の価値創造」、「原価低減活動とサプライチェーンの強靭化」の4点を挙げている。

<カーボンニュートラルに向けた取り組み>

マツダ・ビジョンスタディモデル
マツダ・ビジョンスタディモデル    マツダ

まず、マツダは2050年のカーボンニュートラル化を目指し、中間目標として2035年に自社工場のカーボンニュートラル化を掲げている。

<電動化戦略>

電動化戦略では、2030年までを3つのフェーズに分けて進めていく。第1フェーズでは既存のマルチ電動化技術を活用して環境負荷を低減し、第2フェーズで新しいハイブリッドシステムを導入、さらに中国市場においてEV専用モデルを発売するとしている。第3フェーズでは、EVの本格導入を進め、バッテリー生産への投資も視野に入れていく。マツダの想定では、2030年時点のグローバル販売のうち、25~40%がEVになるという。

<人とITの共創によるマツダ独自の価値創造>

マツダ独自の価値創造として、「人」の研究と理解を深めることで、運転支援技術の開発を加速させる方針だ。2040年を目処に、マツダの新車が原因となる「死亡事故ゼロ」を目指すという。これに伴い、AIやITに長けた人材への投資も進めていく。

<原価低減活動とサプライチェーンの強靭化>

原価低減への取り組みも示している。サプライチェーンの見直しを行い、無駄を取り除いて原価低減と減産への対抗力を強化していく方針だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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