新型トヨタ・プリウス フロントガラスの「傾斜」が凄い! それでもプリウスに見えるワケ

公開 : 2022.11.26 21:50

大径タイヤ、未来感 新型のディテール

そして5ドアのスタイルも、もちろん継承されている。

プリウスがプリウスであり続けるためには、5ドアのボディスタイルは必要不可欠であり、プロポーションは進化しても5ドアを変えることは考えられなかったようだ。

フェンダーのトリムが大径タイヤを強調。新型は、トライアングルシルエットの頂点が後ろ寄りに戻り、「3代目に似ている」と筆者。写真の外板色はアッシュ。
フェンダーのトリムが大径タイヤを強調。新型は、トライアングルシルエットの頂点が後ろ寄りに戻り、「3代目に似ている」と筆者。写真の外板色はアッシュ。    宮澤佳久

サイドビューで特徴的なものに、前後フェンダーのトリムがある。

新型プリウスでは19インチ(グレードによっては17インチ)という大径タイヤを採用しているが、フェンダーのトリムによってタイヤサイズをさらに強調するプロポーションを目指している。SUV的なアクセントではないということだ。

感性に響くエモーショナルな造形を目指したというボディデザインは、キャラクターラインがほとんどない。

シンプルであるが、断面の変化で抑揚をつけて、普遍的な美しさも表現。また、ボディの厚みも感じさせるサイドビューは、前後に長く見せる工夫でもあるという。

フロントまわりでは、新型クラウンや、バッテリー電気自動車のbZシリーズとの近似性も感じさせる。

ハンマーヘッドモチーフを細長いヘッドランプが際立たせ、上側にはデイタイムランニングランプとターンシグナルのダブルファンクション・ランプが備わる、近未来的なデザインだ。

後ろ姿は? テーマは「一目惚れ」

リアまわりでは、最近流行の一文字テールランプを採用。一目でプリウスと分かるフォルムを継承しつつ、ボディをよりワイドに見せる効果がある。

その下には「PRIUS」の車名エンブレムが、字間を空けてワイドに配される。新型センチュリーで使われている手法だが、トヨタ車ではまだ少ない見せ方だろう。

リアセクションのデザインも新型の見どころ。プリウスのDNAを感じさせるフォルムと、一文字テールランプを融合させた。
リアセクションのデザインも新型の見どころ。プリウスのDNAを感じさせるフォルムと、一文字テールランプを融合させた。    宮澤佳久

ボディカラーについても、ふれておこう。

カラーデザインは「スポーティさ」と「洗練さ」を追求したものだという。ワールドプレミアの会場では、メインステージに2台の新型プリウスが展示された。

ハイブリッド車は「ASH(アッシュ)」と呼ばれる、ニュートラルなソリッドグレーに色味のあるマイカを加えて、ニュアンスのある表情を実現したボディカラー。

PHEVは「MUSTARD(マスタード)」と呼ばれる、彩度を少しおさえた黄色にメタリックを加えて、ハイライトのみ輝く独特の質感を実現したボディカラー。いずれも、新規外板色だ。

日本仕様では、この他にもブルーやレッド、ホワイト、シルバー、ブラックなど、8色をラインナップするという。

「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」という2つのテーマで開発された、エモーショナルな新型プリウス。

ハイブリッド車は今冬、PHEVは2023年春ごろの発売が予定されているが、その姿を街中で早く見たいもの。発表会場のような屋内で見ていたものとは、きっと印象が変わって見えるに違いない。

記事に関わった人々

  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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