【詳細データテスト】BMW M4 速さと快適性を両立 軽量でも装備充実 シートは標準仕様がベスト

公開 : 2022.11.26 20:25  更新 : 2022.12.02 03:06

結論 ★★★★★★★★☆☆

Mディビジョンは、CSLの名を持ち出すときを長らく待っていた。今年はまさしくそれにふさわしいが、M4を選んだのは正しかったのか。その疑問に答えを出すのは、期待されるほど簡単に断言できるものではない。たとえロードテストを実施して、ほしいデータが軒並み取れたにしてもだ。

このクルマは速くて、ドラマティックで、はっきりした特徴もある。チャレンジングだが、ドライビングに熱中できる。激しいところもあるが、驚くほどマイルドなマナーをみせるところもある。

結論:次のレベルに入ったMモデルだ。すっかりなじむには、複雑な性格を持つクルマだった。
結論:次のレベルに入ったMモデルだ。すっかりなじむには、複雑な性格を持つクルマだった。    LUC LACEY

しかし、もっとも驚かされるのは、公道上で走らせたときの上質さと実用性だ。BMWはM4 GTS以上にハードさを極めたサーキットスペシャルを造ろうとはしなかった。CSLというサブブランドがどのような味付けを必要としているか、明らかに理解している。そして、それは複雑だ。それでも、ダイレクトで近寄りやすくもあり、かなりの部分で満足できる。

このクルマの進化を味わうのに、サーキットは必ずしも必要ではない。それはサプライズであると同時に大きな強みだ。そして、クローズドコースに持ち込めば、これが通常のM4をドライブするより多くを要求するクルマだということがわかるはずだ。もちろん、速さも激しさも通常モデルをはるかに上回る。そうしたすべての側面が、どこをとってもこのクルマの魅力のうちなのだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

おそらく、これがもっともハンドリングの冴えたMモデルだと称賛されることはないだろう。しかし、通常のM4からのステップアップは明らかで、短絡的に満足できる走りの楽しさを求めたというより、読み解いていくチャレンジのやりがいがあるクルマだ。象徴的モデルとしてはいい出来だ。

イリヤ・バプラート

アグレッシブなフロントのスタイリングは、確かに調和を乱すものだが、ターミネーター的な凄みを増したことで、M4コンペティションよりある種の一貫性が感じられるデザインになっている。少なくとも、個人的にはそう思う。そのほかの部分は、グリルの突出した威圧感にマッチしたものになっている。

オプション追加のアドバイス

トーンダウンしてより目立ちたくないなら、ボディカラーはブラックが懸命な選択だ。無償オプションのカーボンバケットシート、300ポンド(約5万円)のMの50周年バッジ、500ポンド(約8.3万円)のヴィークルトラッカーはほしい。無駄に重量を上乗せするアイテムは、選ばないほうがいい。

改善してほしいポイント

・やや右寄りのペダルレイアウトは修正を。座面の盛り上がったCSLのシートが、いっそうペダルオフセットの不利を際立たせている。
・ローエンドでのターボのレスポンスをもっとシャープにしてほしい。
・超軽量パッケージを用意してもらいたい。可能な限り無駄を省いた仕様が欲しいというユーザーはいるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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