シボレー・カマロSS 1LE
公開 : 2014.08.27 22:40 更新 : 2017.05.29 18:36
■どんなクルマ?
巨大な体躯に、メリハリのあるライン、プレミアム・ブライト・イエローに塗られたカマロSS 1LEは、もしかすると宇宙からでも捉えることができるかもしれないと思った。
先日テストしたスーパーチャージド7.0ℓを載せたカマロZ/28は伝説となるだろう。ただ悲しいことにZL1はプロダクションの終焉を迎えようとしている。そこで工場のエンジニアはこれまでにないクールで購買意欲をそそるカマロをつくろうと結束力を高めた。その結果生まれたのが今回テストするカマロSS 1LEというわけだ。
モデルネームの起源は1980年まで遡る。1LEという名前はシボレー製レーシングカーの、エンジニアの間での通称コードだったのだ。もっとも今回デビューしたばかりのカマロはレーシングカーというよりもハイパフォーマンス・ロードカーという位置づけではあるが、サーキットでも力を充分に発揮するという理由からこのモデルネームが与えられた。
本来ならばカマロにオプション装着をすることによって、カマロSS 1LEのようなバージョンも選択可能ではあるけれど、これまでの伝統に則り、また市場の混乱を避けるためにもMTのカマロSSの派生モデルとして新たに登場させた。あえて1LEのエンブレムを貼らなかったことも、とても格好いい選択だったと言えるだろう。
ボンネット下に収まる6.2ℓV8のLS3ユニットは432psと58.1kg-mを発生。と、ここまではノーマルからは変更はないが、ギアボックスはトレメック製の6速クロス・レシオ・トランスミッション(TR6060)に置き換えられエンジンの溢れんばかりのパワーをタイヤへと伝達する。
■どんな感じ?
0-100km/hタイムが5秒を切ることはさほど難しいことではなく、コーナーや空いた道路、サーキットなどどこでもこのクルマの長所を引き出すことができる。
トランスミッションから伸びるシフト・ノブは短く、ゲート間の棲み分けは明確なので殆どミス・シフトをすることはないだろう。アルカンターラがあしらわれた先端部分は触り心地もとても良い。
この感触をひとたび味わえば、生き生きと吹け上がる3500rpmからレブ・リミットの6600rpmまでとことん回したくなるに違いない。
リフレッシュされたコックピットはとても機能的で使いやすく、シート・ポジションも多くの人にとって理想的。アルカンターラ巻きのステアリングにも握り心地がよく、ヒール&トウがしやすいペダル配置にも好感が持てる。
驚くほどの正確性やフィールを約束する可変アシスト/レシオ・パワーステアリングなど、ZL1のコンポーネントを多分に流用しているにも関わらず、標準グレードからさほど価格が上昇していないのも嬉しいポイント。
やはりそれなりのマスを感じる時もあるが、ターンインの反応はポルシェ・ケイマンに匹敵するほど素早い点もこのクルマの長所だ。
シャシーまでチューニングが及んでいない点は惜しい。しかしながら、スプリング・レートこそSSから変更がないものの、単筒式ダンパーやスタビライザーにはモディファイが施され、ホイール・ベアリングもZL1と同スペックのものに交換されているため、Z/28に匹敵するコントロール・レベルに達している。安心されたい。
ブレンボ製のキャリパーの生み出す制動力は他の例に漏れず力強いけれど、サーキット走行を主とするならばパッドくらいはアップグレードしたほうが良さそうだ。