クラシカルな魅力が漂う ボルボV90 クロスカントリー T5へ試乗 ブランドらしいワゴン 後編

公開 : 2022.12.04 08:26

定番のワゴンボディに四輪駆動と高めの足まわりを備えたクロスカントリー。クラシカルな魅力を英国編集部は評価します。

Eセグメント基準でも広々とした車内空間

ボルボV90 クロスカントリーの車内空間は、属するEセグメントのステーションワゴン基準でいっても広々としている。リアシート側にも高身長の大人が2名か、平均的な大人が3名、快適に長時間座っていられるはず。

荷室空間も広大。カタログ上の容量はライバルを凌駕していないものの、空間自体はスクエアで奥行きもある。荷室の四隅には、ネットを固定できるポイントも付いている。

ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)
ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)

リアシートの背もたれは60:40の2分割で倒れる。40:20:40の3分割ではないところが少々残念だ。

前席側もゆとりの空間。内装の素材は質感に優れ、各操作系はシンプルで理解しやすい。インテリア全体のソリッド感が高く、仕上げも素晴らしい。

V90 クロスカントリーには、現代モデルでは定番アイテムといえる、シフトパドルやドライブモードの切り替えスイッチがない。変速は8速ATにお任せ。インフォテインメント・システム用のタッチモニターで、オフロード・モードの選択ができる。

フロントのレザーシートはサイズが大きく、調整域も広い。望み通りの、リラックスしたドライビングポジションに落ち着ける。メーター用モニターは鮮明で見やすく、ドライブ・コンピューターの操作も簡単に理解することができた。

グーグル社によるインフォテインメント

最新のボルボで特徴となっている装備の1つが、グーグル社が開発に関わったインフォテインメント・システムだろう。2021年に1クラス下のV60から実装が始まり、V90 クロスカントリーでも2022年から採用されている。

扱いやすいソフトウエアだと思うが、過去のレポートによるとバグもいくつか含まれている様子。だが、試乗車へインストールされた最新版はスムーズに動き、反応も素早いものだった。

ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)
ボルボV90 クロスカントリー・プラス B5 AWD(英国仕様)

技術者は改善に取り組んでいるのだろう。全体的に、直感的なメニュー構造だと感じた。メーター用モニターも、試乗中に不具合が起きるようなことはなかった。

クルーズコントロールや車線維持支援が機能するパイロットアシストのオン/オフは、従来のセンサスコネクト・システムに慣れていると違和感があるかもしれない。だが、アンドロイドのスマートフォン・ユーザーなら短時間に勝手は覚えられるだろう。

スマホのアプリをV90 クロスカントリーのタッチモニターで制御したり、グーグルマップのナビゲーションを同期させることも簡単。インフォテインメント側のグーグル・アカウントの設定をシンクロさせれば、音声アシスタント機能も効果的に動かせる。

新しいシステムへ身構えるユーザーもいらっしゃると思う。だが、価値あるアップデートだといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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