フィアット「小さく手頃なクルマを作り続ける」 ライバルの小型車廃止はチャンスに

公開 : 2022.11.24 18:05

イタリアの自動車メーカー、フィアットは、環境規制や電動化によるコスト増が続く中、手頃な価格の小型車を作り続ける姿勢を示しました。

他社の小型車廃止はチャンス

フィアットは、EVへのシフトを進める中で欧州向けのラインナップの見直しを進めるが、同社の特徴であるコンパクトなボディサイズは維持する方針を示した。

フィアットは今後5年間で、既存の500eに加え、5つの新型車を発売する予定。プジョーe-208とCMPプラットフォームを共有する小型ハッチバックに始まり、「パンダ」の車名が与えられる可能性のあるクロスオーバーなど、さまざまなモデルの開発に取り組んでいる。

他社が小型セグメントから撤退しても、フィアットは引き続き力を入れる方針だ。(画像は次世代EVの予想レンダリングCG)
他社が小型セグメントから撤退しても、フィアットは引き続き力を入れる方針だ。(画像は次世代EVの予想レンダリングCG)    AUTOCAR

欧州では、環境規制への対応や電動化によるコスト上昇の影響もあり、小型のA~Bセグメントからの撤退が相次いでいる。つい最近も、フォードフィエスタの生産終了がアナウンスされた。フォルクスワーゲンも、次期排出ガス規制「ユーロ7」の導入を受け、ポロの販売を終了する可能性がある。

そのような状況下で、フィアットは引き続き小型車に注力していく姿勢である。同社のオリビエ・フランソワCEOは、次のように述べている。

「当社は、適切なエンジン、ボディ、テクノロジーを搭載したA、B、Cセグメント車に焦点を当てています。その時、お客様が本当に欲しいと思うものを提供したいのです。小さなクルマでも、スマートなパッケージングで」

「フィエスタもポロも不在というのは、素晴らしいことです。そこが当社の居場所であり、期待されているセグメントですから。2013年以降、プントの新型は出していませんが、欧州のお客様にBセグメントのトップブランドを挙げてもらうと、フィアットはトップ3に入っています」

「Bセグメント車を再び導入し、Aセグメント車を販売し続けることが必要です。他社が身を引いていく理由はわかっています。なかなか難しいことですからね」

フランソワCEOは、小型EVを手頃な価格で販売することが大きな課題であることを認め、次のように述べている。

「高収益のEVを売る唯一の方法は、超高級車にすることでしょう。なぜなら、とにかく高価なものに、恐ろしく高いバッテリーコストを組み込むからです」

さらに、フィアットが小型車に注力できる理由は、ステランティスの一員として利用できるリソースに「100%」起因していると付け加えた。

「ステランティスがなければ、当社は良い状態にはなかったでしょう。フィアットのビジネスモデルも、シトロエンのビジネスモデルも、規模の経済性に基づいています。シナジー効果を発揮すれば、まるでクリスマスの子供のように、すべてが怖くなくなるのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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