運転支援あれこれ フォルクスワーゲンID.4 GTX(2) 長期テスト IDライトと駐車アシストは効果的
公開 : 2022.12.03 09:45 更新 : 2023.01.13 14:58
日本でも販売が始まるVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。
もくじ
ー積算537km 賢いレーダーシステム
ー積算2557km BEVでも走れば虫が当たる
ー積算3432km 運転中に効果的なIDライト
ー完璧とはいえない運転支援システム
ー便利なパークアシスト機能
ーテストデータ
積算537km 賢いレーダーシステム
フォルクスワーゲンID.4に搭載される、アダプティブ・クルーズコントロールなどに用いるレーダーシステムは賢い。前方を走るクルマの種類を表示し、自車との距離を教えてくれる。
ところが昨晩、筆者の自宅前にID.4を停めたところ、実際には存在しないバイクが前方にいると表示された。その一度きりだが、何かの誤認なのだろう。ハロウィーンが近かったこととは関係ないと思うが。
積算2557km BEVでも走れば虫が当たる
今年の夏は特に暑かったためか、ID.4のワイドなバンパーには沢山の虫の死骸が張り付いている。普段はあまり気にしない筆者だが、ホワイトのボディだと目立ってしまう。
ある調査によると、英国に生息する昆虫は過去20年間で60%も減少したとか。急減といえ、このバンパーを見ると罪悪感も生まれる。排気ガスを出さないバッテリーEV(BEV)でも、走行中に虫を殺してしまうことに変わりはない。
積算3432km 運転中に効果的なIDライト
まれに、フォルクスワーゲンID.4 GTXが生きているのではないかと思うことがある。
ドアロックを解除すると、LEDマトリックス・ヘッドライトが目覚めた巨大生物の目玉のように、上下左右へ回るように動く。クルマから降りるとブランドのサウンドロゴが鳴り、ドライバーとの別れを悲しんでいるように感じさせる。
運転中に効果的だと感じるのが、ダッシュボード上のIDライトと呼ばれる細い光の帯。車載ナビと連動し、交差点などへ接近すると向かうべき方向へシーケンスに光ってくれる。
完璧とはいえない運転支援システム
ただし、完璧というわけではない。時折、ADASと呼ばれる先進的な運転支援システムがわずらわしく感じる場面もある。車線維持支援と衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブ・クルーズコントロールなどが複合的に働くシステムだ。
基本的に、アダプティブ・クルーズコントロールは良く機能する。だが、頻繁に利用する高速道路で気になる部分を発見した。
高速道路上でシステムがオンの場合、走行中にカーブが近いことをID.4が認識すると、自動的に80km/hへ減速する。ところが、殆どステアリングホイールを傾けずに通過できる、長く続く緩いカーブでも同様にスピードが落ちるのだ。
先行車が前触れもなく110km/hから80km/hへ減速したら、後ろのドライバーは驚くだろう。ID.4に乗っている筆者も、初めての時は混乱してしまった。
ボディ側面のブラインドスポット・モニターが、英国仕様の場合は標準で含まれないことも残念。クルマは充分に長く、Aピラーが斜め前方の視界を遮っているため、隣りにいる車両などを発見しにくい時がある。
車線維持支援システムにも改善の余地はある。高速道路では間違いなく効果的だが、郊外の一般道では車線の認識に苦労しているのがわかる。ID.4がピクピクと修正するように向きを変えたり、路肩や中央線へ接近しすぎるなど少し安定性に欠ける。
メーターパネルに「車線中央を維持してください」「ステアリングホイールを握って操舵してください」という警告も頻繁に表示される。警告音も鳴る。問題ないように思える状態でも。
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