日産GT-Rの「心臓」を持つハイパーカー 新型プラーガ・ボヒーマ初公開 これでナンバー付き?

公開 : 2022.11.25 06:05

早速プロトタイプに乗り込んでみると……

ヤン・マルティネク率いる開発陣は、レーシングカーのような運転体験と公道での使い勝手を両立させるという目標の達成にどれだけ近づいているのだろうか?

来春、完成したボヒーマを公道やサーキットで走らせてみればわかることだが、英ダンズフォールドで試乗したプロトタイプは、すでにその答えを持ち合わせているように思えた。開発陣の努力は実を結ぼうとしている。

プラーガ・ボヒーマ
プラーガ・ボヒーマ    プラーガ

しかし、ナンバー付きといえども乗り込むのは大変だ。カーボンファイバーのサイドシルをまたぎ、足をキャビンに突っ込み、身をかがめてシートに滑り込む。ただ、オフセットされたシート(車内が狭いため)に同乗者を座らせれば、その後の操作は実に直感的だ。

ルーフに取り付けられたボタンから、3.8L V6に点火する。目標の700psにはまだ遠く及ばないものの、現時点でも500ps程度を発揮するという。レーシングカーのようにがっしりしたブレーキペダルに足を乗せ、右側のパドルを引いて1速に入れ、パワーを供給すれば(クリープ機能はない)、走り出すことができる。

日産のVR38DETTエンジンは、R35 GT-Rに搭載されているものとほとんど変わらないので、アイドリング状態から扱いやすく、回転もスムーズ。注意してほしいのは、2速、3速の扱いで、変速時はスロットルを一瞬緩めるだけでは不十分だ。このあたりがもう少しマイルドになれば、大いに助かる。

その他、前方および側方の視界が非常に良好であることも特筆すべき点である。戦闘機のコックピットに座っているような感覚になるし、人間工学的にも優れている。

カーボン製シートはシャシーと一体化しているが、背もたれの角度調整とペダルボックスの調整が可能なため、快適なドライビングポジションを見つけるのは難しくない。軽いパワステも、低速域の操縦を予想以上に容易にしてくれる。

動力性能については、ピレリPゼロ・トロフェオRタイヤを装着したプロトタイプで攻めることはできなかったが、フルパワーの半分程度でも、ガッチリとした骨太のマシンであることがわかった。それでいて、恐怖心をあまり煽らないのが印象的だった。

限界域でのパフォーマンスは今後明らかになるだろうが、プラーガは幅広いスキルレベルに適応できるマシンを目指しているというから、あまりトゲのあるものは期待しないほうがいいかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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