新型日産セレナ 6年ぶりフルモデルチェンジ第6世代に 日産の「売れっ子」歩んだ30年
公開 : 2022.11.28 14:00 更新 : 2022.11.29 19:50
エコ優遇時代に 燃費性能高めた4代目
4代目のセレナの登場は2010年11月8日。
広い室内と使い勝手の良さという従来からの美点を継承しつつ、省燃費性能を磨き上げたのが4代目の特徴だ。
ちょうど誕生の前年となる2009年からは燃費の良いクルマに対するエコカー減税&補助金が実施され、トヨタのプリウスが大ヒットしていた。
そうした燃費を重視する世相に対して、4代目セレナは、ECOモーター式というアイドリングストップを採用。オルタネーターによって減速時のエネルギーで発電をおこなう回生機能を備えた。
また、アイドリングストップからの再始動にもECOモーターを利用し、スムーズな再始動を実現。さらに新開発の直噴エンジンにCVTを組み合わせることで燃費性能を高めたのだ。
さらに2012年8月にはECOモーターを発展させたマイルドハイブリッドのSハイブリッドを追加。
これはオルタネーターの出力を高めると同時にサブバッテリーを追加し、減速エネルギーの回生だけでなく、エンジンの補助までをおこなえるようにしたものだ。
時流に乗った改良をおこなったこともあり、4代目セレナもヒットモデルとなる。
デビュー翌年の2011年の年間販売ランキングでは4位に。これはミニバンとしての最上位であり、その後、2012年、2013年と3年連続でのミニバン・ナンバー1の売上を達成したのだ。
プロパイロットとeパワー 技術の5代目
2016年8月24日に5代目となるセレナがデビューする。
このモデルも「広い室内」、「使い勝手の良さ」という基本は従来どおり。
それにプラスされたのが「プロパイロット」だ。
これは、高速道路で、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動制御して先行車を追従しながら、単一車線内をキープするというもの。今でいえばステアリングアシスト付きのACCであり、軽自動車にまで広く普及しつつある技術である。
しかし、2016年当時は日産として初であり、採用するのは欧州のプレミアムカーの一部といった、まさに最先端の技術であった。日産がいかにセレナに力を入れていたかが、わかる大胆な採用であったのだ。
しかし、そんなセレナであったが2017年の販売では、トヨタのヴォクシーに敗北する。年間販売ランキングでは、10位のセレナに対して、ヴォクシーは9位と上をいく結果に。
しかし、2018年2月に本格ハイブリッドのセレナeパワーを投入。
すると一気に販売を挽回し、2018年の年間販売では4位に食い込み、ミニバン・ナンバー1を奪取。さらに翌2019年もミニバンの年間ナンバー1を連覇することに成功している。
商用バンの派生から始まり、ファミリー向けミニバンの勃興に大きく貢献したセレナ。
セレナという存在抜きに、現在の国内のミニバンジャンルを語ることができないだろう。
そして、新世代となったセレナも、この先の日本のミニバンの行方に大きな影響を与えることだろう。