シトロエンC5 Xの兄弟 プジョー408 ハイブリッド225へ試乗 新型クロスオーバー 猫耳付き

公開 : 2022.12.06 08:25  更新 : 2023.06.20 17:29

驚くほどゆとりがある車内空間

ドアを開いて運転席へ腰掛けると、プジョーがプレミアムな質感を追求したことが理解できる。内装の素材はソフトタッチ加工され、ダッシュボードは大きく傾斜した大胆なデザインでありながら、落ち着きもある。

プジョーが現代モデルで展開するiコクピット・レイアウトは、今でも賛否があるだろう。小径のステアリングホイールが低めに伸び、メーター用モニターの一部がリムで隠れてしまう。

プジョー408 ハイブリッド225 GT(欧州仕様)
プジョー408 ハイブリッド225 GT(欧州仕様)

メーターのグラフィックは3D効果で立体的に描かれる。カッコイイのに、一度に見渡せないのが残念だ。

ダッシュボードの中央には10.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが鎮座する。これは308にも採用されているもので、表示が鮮明で入力に対して正確に素早く反応する。

タッチモニターの下には、多様なメニューに対応したタッチセンサーのショートカットキーも備わる。運転中でも比較的操作しやすいと感じた。

車内空間は驚くほどゆとりがある。ホイールベースは、C5 Xと同じ2790mmと長いことが貢献している。身長が180cmを超えるような大人でも、頭が天井に触れたり、膝がシートバックに当たったりすることはない。

荷室容量は通常で536Lだが、PHEVの場合は471Lへ1割ほど小さくなる。開口部は広く、リアシートの背もたれは60:40の2分割で倒せるから、長い荷物も問題なく積める。実用性に不満はないだろう。

積極的に運転するとギクシャクしだすPHEV

気になる実際の走りだが、EMP2を採用するモデルらしい印象を受けた。これはプジョーに限定したものではなく、プラスの側面もあれば、そうではない部分もある。

試乗車はPHEVで、パワートレインはシステム総合で225psを発揮する。12.4kWhの駆動用バッテリーを搭載し、電気の力だけで最長64kmが走れると主張される。ファーストエディションでは62kmへ若干短くなるが。

プジョー408 ハイブリッド225 GT(欧州仕様)
プジョー408 ハイブリッド225 GT(欧州仕様)

EVモードでの走行時は静かで穏やか。80psを発揮する駆動用モーターは、スペインの市街地の流れに不足ない加速力を提供する。

駆動用バッテリーの残量や必要なパワーに応じて、1.6L 4気筒ターボエンジンが介入するが、低回転域でのノイズは控えめ。8速ATは滑らかに変速を繰り返し、質感の良い走りをバックアップする。

乗り心地は、低速域では若干硬い。速度が増すほど、しなやかさが出てくる。試乗コースの舗装は古く、平滑とはいえなかった。引き締まったサスペンションだということを、細かい振動が教えていた。

積極的に運転し始めると、4気筒エンジンと8速ATがギクシャクしだす。車重が1706kgあることもあり、225psという数字ほど速くは感じられない。エンジンの回転数が高まると、張り詰めたノイズも響くようになる。

8速ATは、デュアルクラッチATのように小気味いい変速を披露するわけではなく、ステアリングコラム側に固定されたシフトパドルの操作にワンテンポ反応が遅れる。電気モーターと内燃エンジンとの調和も、高いとはいえない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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