100台限定の最終仕様 アウディTT RS アイコニック・エディションへ試乗 直5ターボで惜別

公開 : 2022.12.03 08:25

R8に続いてお別れとなる、直5ターボのTT RS。最終仕様となるアイコニック・エディションを、英国編集部が評価しました。

100台限定の最後のTT RS

お別れを惜しむ前に、英国価格に触れておきたい。今回試乗したTT RS アイコニック・エディションは、8万7650ポンド(約1455万円)もする。

アウディTTとしては、驚くほどの金額といえる。急速に縮小する高性能スポーツクーペ市場を支えてきた象徴的なモデルの限定車とはいえ、少々強気すぎるように思うかもしれない。

アウディTT RS アイコニック・エディション(欧州仕様)
アウディTT RS アイコニック・エディション(欧州仕様)

ただし、生産台数はたったの100台。英国には11台が導入される予定にあるが、既にすべてが売約済み。現物を見せる前に、最終仕様のTT RSをアウディは売り切った。

このTT RS アイコニック・エディションは、先日試乗したアウディR8 V10 GTとは異なり、技術的なアップデートは施されていない。専用の車高調整式サスペンションや、知的なトルクスプリット式リアデフは備わらない。

通常のTT RSと比較すると、エアロキットが付加されているのがわかる。フロントバンパーには樹脂製のディフューザーとカナードが黒く輝き、テールゲートにはスワンネックの大きなリアウイングがそびえる。

見た目は適度にアグレッシブさを高めているが、やりすぎには感じないラインに留まっているとは思う。特徴的なTTの滑らかなデザインを、大きくかき乱すほどではない。

2.5L直列5気筒ターボは400psと48.8kg-m

アルミホイールも専用デザインのものを履く。サイズは20インチで通常のTT RSと変わらないが、グロスブラックに塗装され足もとを凛々しく引き締めている。

ゆっくり観察すると、リアのクォーターガラスに小さくアイコニック・エディションとステッカーが貼られている。見た目の差別化としては、この程度のようだ。

アウディTT RS アイコニック・エディション(欧州仕様)
アウディTT RS アイコニック・エディション(欧州仕様)

ドアを開くと、スポーツシートの背もたれにアイコニック・エディションとイエローの刺繍が施されているのに気付く。他にもイエローが差し色で用いられ、アルカンターラとレザーが多用されたブラック基調のインテリアの印象を高めている。

シフトノブには、シリアルナンバーが記されたプレートがあしらわれる。人より多いお金を支払ったことを、運転中でも目線を下ろす度に確認できる。

それ以外は基本的にTT RSのまま。スタイリッシュでソリッド感が高く、仕上がりはいい。特別仕様ではあるが、2+2の小さなリアシートも残された。

メカニズムには手が加えられていないアイコニック・エディションだが、季節を問わない高性能スポーツモデルであることも変わりはない。エンジンは2.5Lの直列5気筒ターボガソリンで、最高出力400ps、最大トルク48.8kg-mを発揮。もちろん四輪駆動だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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