今さら聞けない! 冬の運転で気をつけるべきこと クルマの準備・対策を万全に

公開 : 2022.11.29 06:05

冬のドライブに備えよう 10のポイント

秋から冬へと移り変わるこの季節、愛車の「寒さ対策」は、無事に家に帰れるか、それとも寒い夜を道端で過ごすかの分かれ道となるかもしれない。ここからは、寒い時期に向けたクルマとドライバーの準備について紹介していきたい。

備えあれば憂い無し。簡単な準備をしておくだけで、突然の雪でも安心・安全に運転することができる。もったいないからと言って出費を渋ると、後になってとんでもない金額(修理費や保険金など)を請求されることになるかもしれない……。

1. 必要最低限の点検

冬のドライブに備えよう 準備と注意
冬のドライブに備えよう 準備と注意

冬が来る前に、最低限、日常点検レベルの点検は済ませておこう。特にオイルやクーラント、タイヤの空気圧、ライトを要チェック。必要に応じて交換・補充し、正常な状態を維持して寒い季節を迎えたい。

2. 不凍液をチェック

エンジンを適切な温度に保つラジエーターには、氷点下でも凍りにくい不凍液という液体が使われている。これが適正量入っていないと、氷点下でラジエーターが破損するなど重大な故障に見舞われる可能性がある。

その他、クーラントホースやウォーターポンプにも漏れや損傷がないかどうか確認しよう。

3. バッテリーの手入れ

外気温が低いとバッテリーの健康状態に影響が及ぶ。日常的に運転していない場合はなおさらだ。エンジンの始動にいつもより時間がかかる場合は、バッテリーが消耗している可能性が高い。状態が気になるのであれば、ディーラーや整備工場でテストを受けてみよう。

また、駐車中にバッテリーが上がってしまった場合は、トリクル充電器で充電するか、ロードサービスを呼ぼう。

4. ライトを明るく

すべてのライトが正常に動作するか確認するのは言わずもがな、軽度の損傷や色あせが見つかった場合は、リペアキットの購入を検討してみてはどうだろうか。整備工場などに依頼してもいいが、重症でなければDIYでコストを抑えられる。

製造からある程度年数の経過したクルマは、新しく強力な電球にアップグレードして視認性を向上させるという手もある。互換性のある適切な電球を選ぶようにしよう。

5. ブレーキの点検

ブレーキ鳴きが発生したり、ブレーキペダルの踏み心地が柔らかくなったり、制動距離が明らかに伸びたりしていたら、注意が必要なサインだ。凍った路面や雪道では、ブレーキが正常でも制動距離が大幅に伸びてしまう。摩耗や欠陥があるとさらに悪化する。

6. タイヤの点検

タイヤの状態と品質は、冬道でのパフォーマンスに劇的な違いをもたらす。トレッドが浅かったり、サイドウォールが損傷していたり、海外の格安ブランドを使用したりすると、走行性能が落ちてしまうかもしれない。

それらを慎重にチェックし、摩耗や損傷、異常が見られたらすぐに交換する。また、冬用タイヤへの切り替えも真剣に検討してみてほしい。

7. 視界不良は絶対に避けよう

冬の運転で最も危険なのは視界不良だ。状態の悪いワイパーブレードは新品に交換し、ウォッシャー液には冬用のもの(夏用と冬用がある)を補充しよう。車体に積もった雪や氷を落とすため、アイススクレーパーを用意しておくと便利だ。走行中に窓ガラスやサイドミラーが汚れても拭き取れるよう、雑巾などを常備するのもおすすめ。

また、車内には予備のウォッシャー液を積んでおきたい。冬場は道路に凍結防止剤(融雪剤)が散布されていることがあるので、ハネて窓ガラスに付着すると視界を妨げてしまう。

8. ウェザーストリップ、ロック、ヒンジに注油

寒さでドアがウェザーストリップにくっついてしまい、開きにくくなったり、ストリップが破損したりすることがある。注油により改善することができるが、ワセリンはゴムを劣化させてしまうので使用しないように。

シリコンスプレーであればドアのヒンジ、ロック、リンケージにも使用できる。油をさしておくことで、気温が低下したときに付着を防ぐことができる。

9. サバイバルキットを用意する

クルマの冬支度が終わったら、「最悪の事態」に備えて準備をしておこう。大げさかもしれないが、外出先で万が一のアクシデントに見舞われた際、または災害に巻き込まれた際に命をつなぎとめるための防災グッズのようなものと考えてほしい。

具体的には、ジャンプスターター、懐中電灯、牽引用ケーブル、高視認性ベスト、防寒着、携帯用トイレ、携帯電話の充電器(ポータブルバッテリー)、チョコレート、ペットボトルの水などをバッグに入れておきたい。ひどい渋滞に巻き込まれたときにも、こうしたセットがあると便利である。

降雪地帯を走るのであれば、木の板やスコップ、古いカーペット、ダンボールなどを持っていくことを検討してみよう。タイヤがはまって動けなくなったときに役立つ。もし余裕があれば、クーラントやオイル、補助ベルトなどのツールや予備品を少しずつ積んでおくともっと安心だ。

9. スノーチェーン、ソックス、マットを選ぶ

よほどの積雪量でなければ、タイヤチェーンがあれば動けなくなることはほとんどないだろう。用品店や通販サイトで購入でき、練習すれば数分で取り付けられるようになる。トランクにしまっておくとよい。

布製のタイヤソックス(オートソックとも呼ばれる)は、金属製のチェーンと同様の役割をもちながら、脱着が楽というメリットがある。チェーン規制に対応したものも販売されているが、耐久性などの注意点もある。また、使い終わった後の処理が若干面倒なので、ゴミ袋や使い捨ての手袋を忘れずに。チェーンと同じく、雪や凍結のない路面では外しておくこと。

スタックした時には安価なスノーマットが役に立つ。スコップのように雪をどかしたり、タイヤに付着した氷などを落としたりすることもできる。雪道だけでなく、泥などのオフロードでも使える。

10. 融雪剤から車体と塗装を守る

路面の凍結を防ぐために使われる融雪剤は、海水のように車体や塗装を痛めてしまう。可能であれば、サビが発生している部分を事前に処理したり、塗装の欠けや傷などを修復したりしておこう。走行後は洗車して、特に下回りを入念に洗っておきたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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