HVハッチバック乗り比べ ホンダ・シビック トヨタ・カローラ 半世紀の進化の現在地 前編
公開 : 2022.12.10 09:45 更新 : 2024.07.23 11:02
機械的なアップデートの必要性を感じない
本来ならフェイスリフト後のカローラを用意できれば理想的だったが、実際にわれわれの手元に届くのは2023年1月以降。改良前の、英国仕様の2.0Lハイブリッドで比較することになった。といっても、相手としてまったく不足はないようだ。
2.0Lハイブリッドのカローラに乗ってみると、機械的なアップデートが必要だとは感じさせない。新しいシビックの実直な印象に、まったく劣っていない。
確かに、走行中は古いCVTのようにダイレクト感が若干薄いものの、フィーリングはかなり良好。アクセルペダルを倒しきらない限り、エンジンの回転数の変化に不自然なところは殆どない。ノイズが過剰に高まる場面も限定的だった。
一方のシビックは、よりエンジンの存在感が前にある。アクセルペダルを半分程度まで倒すと、多段ギアのオートマティックのように振る舞う。メカニズムに関心を寄せないドライバーなら、至って自然に、従来のクルマのような印象を受けるはず。
スポーティ度が高く、2.0L 4気筒エンジンから好ましいサウンドが優しく耳へ届く。それでいて、動力性能や燃費性能はカローラと肉薄している。
実際の加速力ではカローラの方が若干鋭いようだが、同じ条件でストップウォッチを持ち出さなければわからない程度。燃費は、英国の交通環境では簡単に18.0km/L以上を狙えられる。
シビックの方が燃費はやや優れる。だが、カローラはアップデートされた2023年仕様ではない。動力性能を考えれば、両車ともエネルギー効率は唸らされるほど高い。
カーブの続く道で見えてくる小さな違い
英国郊外の一般道を走らせると、2台の個性が似ていることを実感する。今回のカローラはGRスポーツ・グレードで、少しアグレッシブな見た目と赤と黒のGRロゴ、18インチ・アルミホイールを得ているが、それ以外は通常のカローラと同等だ。
同じく18インチ・ホイールを履くシビックの方が、乗り心地は少し硬めではあるが、直接乗り比べなければ気が付かない範囲。柔らかすぎることもなく、硬すぎず、ファミリー・ハッチバックとして的を射ている。
カーブの続く道を走らせると、小さな違いが見えてくる。カローラの方が若干ソフトな足まわりのため、ボディロールもやや大きい。ステアリングはシビックよりスローで軽いが、負荷が高まるほど重く転じ、安心感も増していく。
ホンダのステアリングはクイックで、手応えも多い。しっかり路面を掴んでいる印象があり、低めのドライビングポジションがドライバーの気持ちをそそる。かといって、大きな違いといえるほどではないだろう。
この続きは後編にて。